2013 Fiscal Year Annual Research Report
有機金属気相選択成長法による化合物半導体ナノワイヤのナノ発光素子応用
Project/Area Number |
13J01918
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小橋 義典 北海道大学, 大学院情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 半導体ナノワイヤ / 有機金属気相成長法 / 選択成長法 / ナノ構造・ナノ材料 / ナノデバイス / 単一光子光源 / 量子暗号通信 |
Research Abstract |
【研究目的】 理論上盗聴不可能な量子暗号通信技術実現に向け、単一半導体量子ドットによるオンデマンド型単一光子源の研究が活発化している。オンデマンド型単一光子源の実現には、量子ドットの位置・サイズを加工損傷無く適切に制御することが重要である。しかし、従来の平面(プレーナ)技術を基盤とする量子ドット形成技術では、量子ドットの位置・サイズ制御や加工損傷無く光取出効率を向上させることが困難である。一方有機金属気相選択成長法では、高い光取出効率を有するナノワイヤの内部に単一量子ドットを埋め込んだ構造(ナノワイヤ量子ドット)を加工損傷無く形成でき、その位置・サイズ制御が容易である。本研究では、有機金属気相選択成長法で形成したナノワイヤ量子ドットによる、オンデマンド型単一光子源の実現を目的とする。 【研究内容・意義・重要性】 採用第1年度目は、優れた電子・光学特性を有するInGaAs系のナノワイヤ量子ドットの作製技術確立を目標とした。目標達成には、InGaAsナノワイヤの高度な形状・混晶組成制御技術が必要である。そこで、ナノワイヤの形成・制御に重要であるV/III比(V族原料とIII族原料の供給比)がナノワイヤ形状・混晶組成へ与える影響を調査した。 その結果、V/III比はナノワイヤ形状・混晶組成に大きく影響することがわかった。更に、その影響の大きさはIII族原料の供給比(InとGa原料の供給比)に依存して変化することがわかった。これは、III族原料の供給比によってナノワイヤ表面へのInとGaの取り込み方が変化するためである。 この成果は、2件の国際会議発表(口頭)及び1件の学術論文(査読あり)として公開されており、本研究課題の達成において重要な知見である。そして、電子・光学材料分野の発展に貢献するだけでなく、他の技術分野にも波及効果があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、有機金属気相選択成長法で形成したナノワイヤ量子ドットによるオンデマンド型単一光子源の実現である。そのため採用第1年度目は、優れた電子・光学特性を有するInGaAs系のナノワイヤ量子ドットの作製技術を確立させることを目標とした。採用第1年度目の研究成果は、ナノワイヤ量子ドット作製技術の確立にとって重要であるナノワイヤの高度な形状・混晶組成制御技術を発展させるものである。よって、研究目的の達成に向けて、研究はおおむね順調に進展していると言えるだけでなく、本研究成果は、他の技術分野の進展にとっても意義深く、大きな波及効果があると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
採用第1年度目の研究では、ナノワイヤの高度な形状・混晶組成制御技術を確立する上で重要な知見を得ることができた。この知見を活かして、今後の研究では、実際に量子ドットをナノワイヤ中に埋め込むための条件を確立する必要がある。ナノワイヤ量子ドット形成の過程で問題が生じた場合は、量子ドット部の材料系や成長温度などの調整を行い、サイズの制度良く量子ドットをナノワイヤに埋め込むことができる条件を模索する。
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Research Products
(3 results)