2013 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質VIP陽性抑制性細胞の入出力に関する形態学的解析
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13J01992
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
孫 在隣 京都大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | VIP陽性細胞 / 大脳新皮質抑制性細胞 / 遺伝子改変動物 / ウイルスベクター |
Research Abstract |
大脳新皮質の抑制性介在細胞を含めた神経回路の解明を目標としている。大脳新皮質の抑制性細胞は実に多様であり、神経回路の描写まずその分類学を確かにする必要がある。現在まで多く用いられている遺伝子発現による分類では、(1)パルブアルブミン(PV)陽性細胞(-40%)、(2)ソマトスタチン(SOM)陽性細胞(-30%)、(3)5HT3a受容体発現細胞(-30%)の3つに大分される。(2) SOM陽性細胞について、その構成要素もまたさらに多様であると言われていたが、本研究期間にその多様性をさらに検討し、プレプロダイノルフィン発現の有無によってSOM陽性細胞の集団が大きく2分割されることを報告した(Sohn et al., J Comp Neurol., 2014)。 一方、2013年になって、(3)の多くを占めるVIP発現抑制性細胞が、特にPV陽性細胞やSOM陽性細胞を抑制することで、錐体細胞に脱抑制を導き、そのVIP陽性細胞が支配する領域の活性化をもたらすという論旨の論文が4本報告され、注目されている。このVIP陽性細胞が受ける入力様式の解明は、皮質め局所の活動性がどのように制御を受けているかを明らかにする上で非常に重要である。 そこで、VIP陽性細胞の樹状突起を遺伝子工学技術を駆使して可視化し、そこへの入力を形態学的に解析している。その結果、2/3層に細胞体が存在するVIP陽性細胞の樹状突起は特に大脳皮質1層から4層までの入力を受け、また多くは遠位樹状突起にて入力を受けていることが分かっている。例外的にPV陽性細胞からの抑制性入力は細胞体付近に多いことがわかり、皮質局所の活動性支配の一端を担っていると考えられるVIP陽性細胞への入力は、ランダムではないことがわかり、その回路の一部が見えてきている。現在その嗜好性や意義について解析を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に必要なウイルスベクターの開発や手法はすでに確立され、主要なデータ取得もほぼ終了している。現在はその解析やさらなる追加実験を検討しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
VIP陽性細胞への皮質・皮質投射興奮性入力、視床一皮質投射興奮性入力、皮質・皮質間抑制性入力(亜群も含む)のデータ取得はすでにおおむね完了している。今後は、VIP陽性細胞を細胞体・近位樹状突起・遠位樹状突起に分け、そのコンパートメント別入力を詳細に解析することで、各種入力パターン・嗜好性を評価する。 また、一つ、あるいは集団としてのVIP陽性細胞が受ける入力の総数を算出し、大脳新皮質の局所の活動性を支配する因子を網羅的に推算し、大脳新皮質全体にわたる共通原則に迫りたいと考えている
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Research Products
(6 results)