2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規遺伝子CoLac1による圧縮あて材形成機構の解明
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13J02049
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平出 秀人 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | compression wood / laccase / Chamaecyparis obtusa / lignification |
Research Abstract |
ヒノキでは、圧縮あて材の形成に、ラッカーゼをコードする遺伝子(CoLac1)が関わっている。ラッカーゼはリグニンの堆積過程でモノリグノールを酸化する酵素として知られており、圧縮あて材細胞壁の二次壁中層外周部に観られる高度に木化した領域(S2L)の形成に関わっているかもしれない。本研究では、遺伝子CoLaclのコードするラッカーゼ(CoLac1ラッカーゼ)の発現段階と細胞内分布にっいて調べた。 圧縮あて材の分化過程におけるCoLac1ラッカーゼの発現段階を明らかにするために、免疫蛍光標識法によって、圧縮あて材分化中木部においてCoLac1ラッカーゼを可視化した。CoLac1ラッカーゼは、二次壁の肥厚を開始した細胞から完成した細胞までで多く観られた。この結果から、CoLac1ラッカーゼは、二次壁肥厚が開始するときに発現すると考えられる。 さらにCoLac1ラッカーゼの細胞内分布を明らかにするために、異なる分化段階の細胞においてCoLac1ラッカーゼを観察した。二次壁の肥厚開始する細胞では、CoLaclラッカーゼが原形質に分布する細胞と細胞壁に労布する細胞が観察された。このことから、二次壁肥厚開始のとき、CoLac1ラッカーゼは原形質から細胞壁側へと分泌されると考えられる。つづく二次壁肥厚中から仮道管の完成までρ細胞では、CoLac1ラッカーゼは二次壁中層の外周部に分布した。したがって細胞壁側へと分泌されたCoLac1ラッカーゼは二次壁中層の外周部に分布すると考えられる。この結果は、圧縮あて材細胞壁の二次壁中層外周部に観られる高度に木化した領域の形成に、CoLac1ラッカーゼによるリグニン堆積が関わっている、ということを強く示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において解明を目指す主な事項は、(i)CoLac1ラッカーゼが働く段階、(ii)CoLac1ラッカーゼの細胞内分布、(iii)圧縮あて材特有なモノリグノール酸化反応の検出、である。そのうち、事項(i)(ii)について今年度明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、免疫TEM法を用いて、CoLac1ラッカーゼと圧縮あて材細胞壁の壁層構造とを同時に観察し、より詳細にCoLac1ラッカーゼの細胞内分布を調査する。併せて、Native-PAGEを用いたゲル内ラッカーゼ活性検出によって、圧縮あて材特有なモノリグノール酸化反応を検出する。
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