2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J02138
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松田 唯 広島大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自律運動 / 非線形 / モードスイッチング |
Research Abstract |
[研究内容]本年度は、様々な自律運動素子について、特に、 (1) 溶液から自律運動素子自身が駆動力を生み出す「エンジン」を持つシステムの構築 (2) マランゴニ流の効果を考えたメカニズムの提唱 の2テーマについて、実験を主とした新たなシステム及び運動のメカニズムの提唱を行った。 (1)については、酵素を含んだろ紙と白金を自律運動素子として用い、溶液にグルコースを用いることで、より生物に近く自らエネルギーを生み出すシステムを構築した。 (2)については、これまで表面張力差だけが者目されていた、気液界面上における界面活性剤の駆動力として、表面張力差と同時に発生する「マランゴニ流」に着目した。表面張力差は水深に依存しないが、マランゴニ流は水深依存性を持っており、その効果を踏まえたメカニズムを提唱した。これまでの先行研究では水深についてはあまり議論されてこなかったが、自律運動と水深の関係について革新的な結果が得られたと考えている。 これらの成果を以下[13]に記載したように、様々な学会・研究会等で発表を行った。 [研究の意義]本研究では生物の階層システムについて生物系を取り扱うのではなく、本質的な要素の抽出により縮約したモデル実験系を用いて、微生物のように振る舞う無生物系を構築するとともに走性の仕組みを理解し、その原理を分子レベルで解明することを目的とする。その結果生物の走性に対して科学的観点においてもより一層深い理解に繋がると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現段階において、集団運動だけでなく単純な自律運動素子単体に対してもマランゴニ流の影響を見出すことが出来ている。また、溶液から自律運動素子自身が駆動力を生み出す「エンジン」を持つシステムを構築した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は現在行っている自律運動素子単体ヘマランゴニ流が与える影響を拡張し、素子複数へのマランゴニ流の影響を解明ずるとともに. 素子が集団運動を起こす要因であると考えられる、表面に生じるマランゴニ流「表面流」についても研究を進めていく。問題点としては複数の素子を用いるとそれぞれの素子から同時にマランゴニ流が発生するため、流れが複雑となり定量的な解析が困難であるという点が挙げられる。木研究では、少数(2個ないし3個)の素子から生じるマランゴニ流の影響については実験的に求め、多数の素子を用いた場合どうなるかという部分は数値計算を用いることを検討している。
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Research Products
(9 results)