2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J02148
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 宏史 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | QCD相図 |
Research Abstract |
中性子星の内部では超高密度物質が生成されるため、クォーク物質の生成が期待されている。中性子星内部では、荷電中性条件からクォーク毎に化学ポテンシャルの異なる非対称核物質が生成される。このため、通常QCD相図は対称物質について議論されるが、中性子星内部のQCD相転移を議論するには、この非対称度を表すアイソスピン化学ポテンシャルを含む温度・クォーク化学ポテンシャル・アイソスピン化学ポテンシャルの3次元QCD相図を考える必要がある。 本研究では、QCDの有効模型であるポリヤコフ・クオーク・メソン模型を用いて3次元QCD相図の研究を行った。この研究により、非対称度が大きくなると、QCD臨界点の温度が下がり、ある非対称度において臨界点が消失することを示した。これは、対称物質において高密度側に1次相転移が存在していたとしても、中性子星内部においてはQCD相図の非対称度依存性のため、相転移がクロスオーバーになる可能性があることを示唆している。中性子星内部におけるQCD相転移の次数は、状態方程式等に大きな影響を与え得るため、これは重大な示唆である。この結果は、汎関数繰り込み群により再現されるなど、いくつかのグループの研究の動機を与えている。当研究は原著論文、国際学会にて発表を行っている。 また、次の課題として、非対称核物質におけるQCD臨界点のソフトモードについての研究を進めた。本研究では、クォーク・メソン模型を用い、非対称核物質におけるQCD臨界点でのソフトモードについて研究を進めている。これまでの結果として、平均場近似を用いた計算においては、臨界領域の大きさの非対称度依存性は小さいことをしめした。 これらの研究により、高密度物質状態方程式の構築に必要である、非対称核物質のQCD相図の理解を進めた。
|
Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
|
Research Products
(3 results)