2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J02188
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森本 脩平 神戸大学, 経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | メカニズムデザイン / 耐戦略性 / オークション / マッチング / 社会選択 |
Research Abstract |
「耐戦略性(自分の真の選好情報を正直に表明するインセンティブを各個人に与えるための条件)」や「効率性」などの社会的に望ましい基準を満たす資源配分制度(ルール)についてオークションやマッチングのモデルにおいて検討した。まず、入札者の選好に所得効果が存在する状況における望ましいオークション制度の研究を行った。現実の周波数オークションなどでは入札額が非常に高額になり入札者の選好には所得効果が存在するため、この状況での検討は実社会への応用の観点から非常に重要である。本研究では、最小価格ワルラス均衡ルールが「耐戦略性」、「効率性」、「個人合理性(オークションに参加して損はしないことを要求する条件)」、および「敗者への非補助金性(補助金だけを目当てにした入札への参加を防止するための条件)」の4つの望ましさの基準を満たす唯一のルールであることを示した。次に、上記のオークションモデルでの研究をより発展させて、住宅市場や労働市場などにおける買い手と売り手や労働者と企業の間での望ましいマッチング制度の研究を行った。本研究では、マッチング研究において重要な位置を占める両側マッチングやルームメイト問題と呼ばれるモデルを含む貨幣移転のある1対1マッチングモデルの分析を行った。そして、ルールが「耐戦略性」、「効率性」、「個人合理性」、および「非補助金性(どの個人も、そしてどのマッチしたペアも他者から補助金をもらわないことを要求する条件)」を満たすなら、コア対応はパレート無差別となり、かつそのルールはコア配分を選ぶということを示した。これは、貨幣移転のない非分割財の一般化配分問題においてSönmez (1999)により得られた結果と同様の結果が、上記4つの条件の下で本研究の環境でも成立することを示したものである。また、この結果の系として、多くの状況で4つの条件を満たすルールが存在しないことも示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「入札者の選好に所得効果が存在する状況での望ましいオークション制度」および「貨幣移転が可能な状況での望ましいマッチング制度」の両方の研究において目的の研究結果を得ることができた。さらにこれらの研究について国際学会やワークショップでも予定通り発表を行うことができ、25年度の研究目的を達成することができた。そのため、研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、25年度の研究で得られた研究結果をより一般的なモデルや条件の下で検討することやルールの特徴付けについてより詳細に検討することを予定している。特に「貨幣移転が可能な状況での望ましいマッチング制度」の研究について今後さらに詳しく分析を進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)