2013 Fiscal Year Annual Research Report
食行動変容による抗ストレス作用が月経随伴症状の軽減に及ぼす効果
Project/Area Number |
13J02216
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小原 久未子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 月経随伴症状 / ストレス / 食行動 |
Research Abstract |
月経に伴い出現する身体的・精神的・社会的な不快症状である月経随伴症状は日常の生活に支障をきたす大きな要因となり、多くの女性が月経随伴症状を経験している。本研究は、摂取エネルギー制限によるストレス軽減効果が月経随伴症状に対しても軽減効果をもたらすかどうか、その影響を明らかにすることを目的としている。そのために、各月経周期において中等度エネルギー・高炭水化物食、そして絶食という食事パターンについてストレス状態に及ぼす影響と自律神経系に付随する循環・代謝調節機構について検討を行った。 対象は健康な若年成人女性5名(22.5±0.9歳)である。クロスオーバーデザインを用い、卵胞期・黄体期それぞれに絶食あるいは摂食条件として各被験者4セッション、計20セッションを実施した。摂食、あるいは絶食後の時間経過に伴い、血行動態指標(心拍数収縮期血圧、拡張期血圧、総末梢血管抵抗)、自律神経活動指標を測定した。卵胞期および黄体期の心拍数と総末梢血管抵抗、卵胞期の収縮期血圧および拡張期血圧については、時間と実験条件による交互作用が有意であった。時間および実験条件の主効果、そして時間と実験条件による交互作用が有意であった。これらの血行動態力学的変化は、絶食では副交感神経活動優位、摂食後は交感神経活動優位にシフトすることを裏付けるものであった。 従来、月経随伴症状については、質問紙調査による主観的評価が行われている。今回の研究においては、主観的評価に加え、生体試料や、自律神経活動といった客観的指標を実験デザインにより評価することにより、疫学調査の結果に生理学的な裏付けを与える点において本研究の独創性があると言える。また、摂取エネルギー制限についても、動物及び高齢者等では報告があるものの、若年女性においては報告例がなく、この点においても、本研究の独創性と言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は月経随伴症状の重症度に応じた簡易指標の作成と、自律神経測定手技の確立とそれを用いた解析を計画していたが、そのすべてについて達成することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度の同様の実験を行って被験者数を増加して今回の結果を再確認するとともに、月経随伴症状の主観的評価も加えて、月経随伴症状の軽減効果を検討する予定である。さらに、自律神経活動の解析方法として、広く使用されている高速フーリエ変換と今回用いた自己回帰分析モデルの比較検討を行う。さらに、可能であれば、抗ストレス効果を評価する生理学指標として脳波を追加測定する。
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Research Products
(3 results)