2014 Fiscal Year Annual Research Report
食行動変容による抗ストレス作用が月経随伴症状の軽減に及ぼす効果
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13J02216
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小原 久未子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 月経随伴症状 / ストレス / 食行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
月経に伴い出現する身体的・精神的・社会的な不快症状である月経随伴症状は日常の生活に支障をきたす大きな要因となり、多くの女性が月経随伴症状を経験している。本研究は、摂取エネルギー制限によるストレス軽減効果が月経随伴症状に対しても軽減効果をもたらすかどうか、その影響を明らかにすることを目的としている。そのために、各月経周期において中等度エネルギー・高炭水化物食、そして絶食という食事パターンについてストレス状態に及ぼす影響と自律神経系に付随する循環・代謝調節機構について検討を行った。 対象は健康な若年成人女性7名(22.3 ± 1.0歳)である。クロスオーバーデザインを用い、卵胞期・黄体期それぞれに絶食あるいは摂食条件として各被験者4セッション、計28セッションを実施した。摂食、あるいは絶食後の時間経過に伴い、血行動態指標(心拍数、総末梢血管抵抗)、自律神経活動指標、唾液中コルチゾール濃度を測定した。 結果として、循環機能において食事摂食後に心拍数の増加、総末梢血管抵抗の減少等が見られた。また、自律神経活動において、摂食後に自律神経系が交感神経活動優位にシフトし、対照的に絶食においては副交感神経活動優位にシフトし、絶食による抗ストレス効果を示唆する結果となった。さらに、唾液中コルチゾール濃度においても、食事摂取に比べ絶食では低値であり、絶食による抗ストレス効果を支持する結果であった。 従来、月経随伴症状については、質問紙調査による主観的評価が行われている。今回の研究においては、主観的評価に加え、生体試料や、自律神経活動といった客観的指標を実験デザインにより評価することにより、疫学調査の結果に生理学的な裏付けを与える点において本研究の独創性があると言える。本年度の結果は、この独創性を内分泌学な観点からも、科学的根拠として裏付けることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、1年目において不備が出た個所について修正して実験を継続することと、1年目に得られた実験データをまとめ、結果の一部を海外学術誌に投稿することを計画していたが、いずれも達成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目、2年目に得られたデータについて、未解析のデータの解析を実施する。 これまでに得られた実験データを12th International Congress of Physiological Anthropology(10月で千葉県で開催)にて、疫学データを第74回日本公衆衛生学会(11月で長崎県で開催)にて発表する。 また、これまでに得られた結果をまとめ、海外学術誌に投稿する。
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Research Products
(20 results)