2014 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体の固体化を利用した新規高分子微粒子創製法の確立とその応用
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13J02282
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
徳田 真芳 神戸大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高分子微粒子 / コロイド・界面化学 / イオン液体ポリマー / ラジカル重合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,新規な機能性材料として期待されているイオン液体ポリマー(PIL)の微粒子化及び複合化に関する基礎的知見の獲得を目指している。本年度は,主に海外派遣先にて行ったPILを利用したグラフェン複合粒子の合成に関する検討を行った。具体的には,酸化グラフェンの還元法により作製したグラフェン(rGO)をイオン液体モノマーに添加し,超音波処理を施したところ,非常に安定なrGO分散液が得られた。これはイミダゾリウム環とグラフェン間での相互作用によるものと考えられた。得られた分散液を乳化剤水溶液に添加しミニエマルション重合を行ったところ,rGOの析出もなく安定なエマルションが得られ,TEM観察から粒子内部及び外部にrGOの存在は確認出来なかったものの,真球状の粒子を得ることに成功した。得られた粒子をアセトン処理により溶解させたサンプルをDLSにて測定したところ,rGOと考えられる30nm付近にピークが観測されたことから,rGO含有PIL微粒子の合成に成功した。さらに,rGOの分散性に対するイオン液体モノマーの影響を確認するために,汎用モノマーであるメタクリル酸エチル(EMA)との混合モノマー溶液中にてrGOの分散性を確認したところ,イオン液体モノマーの割合が減少するのに伴い,分散液中でのrGOの安定性が減少する様子が観察された。このrGOの混合モノマー中での不安定性を解決するため,混合モノマー中に予め塊状重合により作成したイオン液体ポリマーをごく少量溶解させる事で,イミダゾリウム環/グラフェン間での相互作用が増大し,モノマー溶液中でのrGOの安定性の向上にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請者が本年度の交付申請書に記載した研究目的である「PILを利用したグラフェン複合粒子の合成」のテーマは,これまで作成が非常に困難であった安定なグラフェン分散液の作成の成功だけでなく,グラフェン含有PIL粒子の合成にも成功したこと。さらに工業化を見据えた汎用モノマー中へのPILを利用したrGO分散液に関しても取り組み始めており,おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,工業的な応用を見据えて,汎用高分子微粒子中にrGOを分散させた複合微粒子の合成に取り組む予定である。具体的にはPILをrGOの分散安定剤として利用することで,様々な汎用モノマー中でのrGO分散液の作成に取り組み,その後重合を行うことで様々な汎用ポリマー内部にてrGOが安定に分散した複合粒子の合成に挑戦する。しかし,PILのホモポリマーの様々な溶剤に対する溶解性が非常に低いため,PILのモノマーへの溶解性向上のため,RAFT重合によりPIL鎖を含んだブロックポリマーの合成を行う予定である。
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Research Products
(7 results)