2014 Fiscal Year Annual Research Report
日本人英語学習者における統語・韻律情報処理メカニズムの統合的解明
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13J02332
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
中村 智栄 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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| Keywords | 第二言語習得 / 韻律 / 心理言語学 / 文処理 / 日本人英語学習者 / 眼球運動計測 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
英語母語話者を対象とした先行研究では, 文の構造的曖昧性が視覚的文脈により解消される現象が明らかとなっている. 本研究では, Put the apple on the towel into the box. という統語上一時的曖昧性を伴う音声文を用い, 日本人英語学習者の音声文理解における韻律情報の影響を調べるため, (1)のように修飾句内の名詞に強調がある音声を用意し, 視覚文脈内に「タオルの上に置かれたリンゴ」への対比として「ナプキンの上に置かれたリンゴ」がある場合とない場合で韻律情報の影響がどう影響を与えるかの検証を行った. これにより, 修飾句の位置が名詞句の前後で異なる言語を母語とする学習者が, 英語文理解において文構造を正しく理解するための手がかりとして韻律情報を使うことができるのかについての検証を行った.
(1) Put the apple on the TOWEL into the box.
本実験の結果から, 視覚文脈内に対比情報が存在し, 音声の韻律情報における修飾句の強調が置かれることで正しい文構造解釈が喚起されるはずの条件で, 最も高い確立で誤った文構造分析が行われているという結果が示された. これにより, 英語母語話者の文理解では正しい統語構造を示す手がかりとなる音声上の韻律情報が, 日本人英語学習者にとっては誤った文構造分析に導くキューとして用いられていることが明らかとなった.
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題について, 日本人英語学習者の文理解における音声の韻律情報の影響を視覚世界パラダイムを用いた眼球運動計測実験から明らかにした. 実験結果からは, "Put the apple on the towel in the bowl."という一時的曖昧性を伴う文の理解において, 視覚文脈が統語処理に与える影響（「タオルの上に置かれたリンゴ」への対比として「ナプキンの上に置かれたリンゴ」が存在する場合には, 'on the towel'を修飾句とする正しい解釈が喚起される）については学習者において母語話者を対象とした先行研究と同じ結果が得られ, 日本人英語学習者が母語話者と同様に, 視覚的文脈を文の構造的曖昧性を解消するために用いていることが示された. その一方, "put the towel on the TOWEL in the box."のように修飾句内の名詞に強調を置く韻律情報の影響については, 音声の対比的韻律が文脈内のコントラストを強調することで正しい統語構造理解が喚起されるという母語話者を対象とした先行研究の結果とは異なり,
日本人英語学習者にとっては対比的韻律が誤った文構造分析に導くキューとして作用していることが明らかとなった. 本研究により, 日本人英語学習者の統語的曖昧性処理における対比的韻律情報の作用が明らかとなったと共に, これまでの成果について国際会議で発表を行っていることから, 研究の達成度としておおむね順調に進展していると判断できる.
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| Strategy for Future Research Activity |
研究課題実施最終年度である本年度は, 日本人英語学習者に行った実験と同一のパラダイムで英語母語話者に実験を行うことで両グループ間の結果を直接比較するため, 海外共同研究者の協力のもと, アメリカの大学で英語母語話者データの収集を行う. データ収集のための実験プログラムのセットアップは既に完了していることから, 母語話者データの収集は本年度の早い時期に完了することが見込まれ, その結果について11月の国際会議で発表を行うと共に, 成果を論文にまとめ国際ジャーナルに投稿する.
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] Getting ready for a surprise2014
Author(s)
Arai, M., Hirose, Y., & Nakamura, C.
Organizer
20th Annual Conference on Architectures and Mechanisms for Language Processing
Place of Presentation
University of Edinburgh, Scotland
Year and Date
2014-09-06 – 2014-09-06
