2014 Fiscal Year Annual Research Report
行為化する言論-ポルノグラフィーと表現の自由法理-
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13J02339
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
菅谷 麻衣 慶應義塾大学, 法学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 言論/行為二分論 / 表現の自由 / ポルノグラフィー / キャサリン・マッキノン / 言論の自由 / アメリカ憲法 / 公法学 / 公法 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の第二年目である本年度は、以下の研究活動を行った。 第一に、憲法上特別な地位を与えられている「言論」と、それと対置される「行為」という類型の差異が改めて現代に問われた1980年代のアメリカの議論状況を調査し、①言論/行為二分論の淵源が20世紀初頭にあること、②1980年代以降の判例法理においては、言論/行為二分論が既に役割を終えていると見られる動向があること、を明らかにした。 以上の研究成果から、1980年代のポルノグラフィー規制条例違憲論を基軸に、20世紀初頭の判例・学説から言論/行為二分論の形成過程を明らかにし、同時に、近年の判例法理における言論/行為二分論の役割を明らかにするという本研究の全体像を構築することができた。 第二に、研究成果の公表にも積極的に取り組んだ。まず、科研費による研究会「性風俗と法秩序」(研究課題番号:24530117)において、「ポルノグラフィー規制とアメリカ合衆国憲法」というタイトルの口頭発表を行い、その後、この報告内容を『法學政治學論究 第103号(2014年冬季号)』(慶應義塾大学出版会、2014年)誌上において活字化した。 第三に、上記の研究活動に加え、研究の第二年目である本年度は、アメリカハーヴァード大学の若手の研究者と合同でアウトリーチ活動を行った。具体的には、相模原市教育委員会に後援の申請を行い、同市の公共施設であるユニコムプラザさがみはら(相模原市立 市民・大学交流センター)において、高校生以上の一般市民を対象とした「相模原市教育委員会後援 さがみはら市民講座」(2015年1月10日)を開講した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度においては、(1)研究の全体像を構築することができただけでなく、(2)研究成果の公表や、(3)アウトリーチ活動に対しても積極的に取り組むことができ、研究を大きく進展させることができた。 以上の点から、当初の計画以上に研究は進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、本年度に明らかにした本研究の二つの研究課題、①20世紀初頭の言論/行為二分論の形成過程の調査、②近年の判例法理における言論/行為二分論の役割の調査、に取り組みたいと思う。 まず、①の研究課題については、十分な調査が済んでいないことから、次年度中に必要な資料を調査・入手するという作業を行う予定である。また、その作業と並行して、既に入手している資料に対する分析を行う予定である。 他方で、②の研究課題については、既にある程度の調査が済んでいることから、そこでの調査結果を早急に分析し、研究成果の公表を行う予定である。
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Research Products
(2 results)