2013 Fiscal Year Annual Research Report
繊毛が成体脳の神経新生と神経細胞の機能に果たす役割の解析
Project/Area Number |
13J02368
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
茶屋 太郎 京都大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 繊毛 / 蛋白質輸送 / 神経 / キナーゼ |
Research Abstract |
今年度はまず繊毛局在キナーゼICKの中枢神経系における繊毛形成への関与を調べた。ICKコンディショナルノックアウトマウスにおいて、神経前駆細胞や網膜前駆細胞において繊毛の数の減少が見られた。一方で、分化した神経細胞や網膜視細胞においては繊毛の数や長さはコントロールマウスと比較して差が認められなかった。このことからICKは中枢神経系において神経前駆細胞の繊毛の形成には必須であるが、神経細胞の繊毛形成には必須でないということが明らかとなった。次にICKの欠損による繊毛への影響をICK欠損マウスの胎児線維芽細胞(ICK KO MEF)を用いて詳細に解析した。ICK KO MEFにおいてはShhシグナル構成因子であるSmoothenedやGliタンパク質が繊毛に異常に蓄積していた。またIFT複合体の構成因子の局在についても調べた。IFT複合体は大きくIFT-AとIFT-Bに分かれるが、ICK KO MEFの繊毛においてはIFT-A、IFT-B両者の構成因子が繊毛の先端に集積していた。一方でICKを過剰発現した細胞においてはIFT-Bのみの構成因子が繊毛の先端に蓄積していた。以上の結果は、ICKは繊毛内におけるタンパク質輸送を制御し繊毛の形成に必須の因子であることを示した。この研究はこれまで明らかとなっていなかった繊毛の先端におけるタンパク質輸送を制御する因子を同定し、その生体内における分子メカニズムを明らかにしたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ICK欠損による繊毛形成への影響がより詳細に明らかとなった。繊毛の先端における蛋白質輸送の制御メカニズムの一端が解明された。
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Strategy for Future Research Activity |
ICKによる繊毛の先端における蛋白質輸送の制御メカニズムをより詳細に明らかにするために、酵母ツーハイブリッドやICKとの共沈物に対して質量分析を行うことによりICKの相互作用因子を同定し、それらの因子がICKによりどのように制御されるのかを解析していく。
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