2013 Fiscal Year Annual Research Report
高感度プロテオーム解析手法を用いた細胞初期化におけるタンパク質動態の解明
Project/Area Number |
13J02403
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩崎 未央 京都大学, iPS細胞研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | Proteomics / iPS cell / Monolithic column / LC-MS/NS |
Research Abstract |
〈研究背景〉 人工多能性幹細胞(iPS細胞)とは体細胞に数種類の初期化因子を導入することで、自己複製能と分化多能性を得た細胞である。その初期化機構解明のために様々な研究が行われているが、特に得られる試料量の少ない初期化過程の細胞に関してタンパク質の網羅的解析(プロテオーム解析)は行われていないのが現状である。その理由として、既存のプロテオーム解析技術には数ミリグラム以上の膨大なタンパク質試料量が必要である一方で、初期化過程の細胞はヘテロな細胞集団を含むため、各細胞集団に分けてしまうと解析に必要なタンパク質量が得られないという問題があった。 これまで、申請者は少ない試料量から短時間で網羅的なプロテオーム解析を行うことのできる手法開発を行ってきた。この手法を用いることで、約10^4細胞数(数μgのタンパク質)から約4,000個のヒトタンパク質を一度に同定・定量することが可能である。そこで、本研究では基盤となるプロテオーム解析技術の改善と、それを用いたiPS細胞初期化過程におけるタンパク質動態の解明を目的としている。 〈研究実施状況〉 本年度は基盤技術開発として、細胞内小器官分画手法の最適化を行うことで同定効率のさらなる改善を行った。細胞を核、細胞質、膜画分に分画した上で試料調整することで、分画しないものと比較して同定効率が約3倍以上改善した。 また、定量精度よく複数の試料を比較するために定量手法の最適化を行った。結論として、iTRAQ (isobariotags for relative and absolute quantitation)を用いた定量手法が最適であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は初期化過程の細胞を試料として使うまでには至らなかったが、同定効率の改善および定量手法の精度向上について基盤技術の構築を確実に行えたため。
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Strategy for Future Research Activity |
タンパク質の回収率を高めるために様々な回収方法を試すことで網羅的解析に必要な最小細胞数を決定する。その上で初期化過程の細胞を集団ごとに回収しプロテオーム解析を行っていきたいと考えている。
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Research Products
(4 results)