2014 Fiscal Year Annual Research Report
高感度プロテオーム解析手法を用いた細胞初期化におけるタンパク質動態の解明
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13J02403
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩崎 未央 京都大学, iPS細胞研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プロテオーム解析 / iPS細胞 / 機能解析 / モノリス型カラム / LC-MS/MS |
Outline of Annual Research Achievements |
<目的>これまで、本研究者は少ない試料から短時間で網羅的なプロテオーム解析を行うことができる解析手法の開発を行ってきた。本研究では基盤となるプロテオーム解析技術の更なる改善と、それを用いたiPS細胞初期化過程におけるタンパク質動態の解明を目的としている。 <研究実施状況> ① 基盤技術開発:測定試料量の軽減 液体クロマトグラフィー-質量分析計(LC-MS/MS)で用いる移動相に5%ジメチルスルホキシド(DMSO)を加えることで、ペプチドの同定数が約20%向上することが分かった。さらに、メートル長モノリス型カラムを用いてLC-MS/MS測定を行った結果、試料量を1/3に抑えてもDMSOを加えない条件とほぼ同数のペプチドが同定可能であることが分かった。DMSOを用いたLC-MS/MSシステムは、測定試料量の軽減および同定数の向上に有益であることが示された。 ② 応用:転写産物量とタンパク量の比較解析 今年度は、iPS細胞とヒト線維芽細胞(HDF)を試料とし、メートル長モノリス型カラムを用いて約10,000遺伝子を同定し、iTRAQラベル化法による定量解析を行った。さらに、同じ細胞を用いてマイクロアレイによる転写産物量比を解析し、タンパク量比との比較解析を行った。その結果、タンパク質と転写物で量比が異なる遺伝子が明らかとなった。そのようなiPS細胞で転写後制御を受けている遺伝子群をGO解析した結果、RNA結合タンパク質などの機能が有意に濃縮されていた。このような遺伝子群がiPS細胞の維持に関わっている可能性があるため、siRNAによる遺伝子ノックダウン実験を行い機能解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本特別研究員は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)作製過程におけるプロテオーム動態の解明を目的として研究を行っている。昨年度に引き続き、当該年度はプロテオーム解析で用いる定量手法の精度・確度改善を行った。その結果、約10,000個の遺伝子についてのタンパク質定量値が得られ、転写産物量と比較した結果、転写後制御を受けている遺伝子群を抽出することに成功した。このような遺伝子群がiPS細胞の制御・維持に関わっている可能性があり、最終年度での検証が期待できるため、研究目的の達成度としてはおおむね順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度明らかとなった、転写後制御を受けている遺伝子群についてどのような細胞機能があるのかということを知るため、siRNAによる遺伝子ノックダウン実験を行う。また、初期化過程の細胞を試料として、タンパク質レベルの変動を明らかにする。
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Research Products
(4 results)