2013 Fiscal Year Annual Research Report
ソノケミストリーにおける非球形気泡のマルチスケールフィジックスに関する研究
Project/Area Number |
13J02710
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
神保 佳典 北海道大学, 大学院工学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 流体工学 / 気泡 / キャビテーション / ソノケミストリー / 数値流体力学 / 非平衡相変化 / 気体論境界条件 / 溶解・析出 |
Research Abstract |
本研究の目的は, 気泡の非球形崩壊が気泡周囲の化学反応や物質分解に及ぼす影響を明らかにし, ソノケミストリーを応用した医療技術や排ガス処理技術等が実用化されるために有用となる知見を示すことである. ソノケミストリーに関する気泡のマルチスケールフィジックスを扱うために, 気泡の非球形崩壊と気泡周囲で生じる化学反応とを同時に扱い得る(申請ミクロ)数値解析手法ならびに流体に加わる力学的作用等に起因して生成崩壊する気泡を扱い得る(申請メゾ)数値解析手法を構築する. 本年度の研究により以下の結果を得た. 1. 非球形気泡崩壊に伴い気泡より流出するラジカル等を評価するために, 蒸気と非凝縮性気体の混合気体を含んだ気泡の崩壊を扱い得る解析手法を構築した. 本手法は, 気泡の非球形崩壊挙動に加えて, (1)気液界面において生じる非平衡相変化と非凝縮性気体の溶解・析出, (2)蒸気と非凝縮性気体の相互拡散, (3)液相中における非凝縮性気体の移流拡散を同時に扱い得る. 本手法を球対称解析に適用し, 以下の知見を得た. 気泡が崩壊時に到達する最小半径ならびに相変化や溶解・析出, 相互拡散により変化する気泡内蒸気の濃度分布が, Matsumotoら(1994)の球対称の数値解析結果と良い一致を示す. 気泡の崩壊時に非凝縮性気体により凝縮が妨げられ, 気泡の崩壊が弱まる. また, 本手法を軸対称解析に拡張した. 2. 気液界面における相変化やラジカルの流入出を正確に見積もるために, 流体力学解析に, 分子気体論に基づく気液界面境界条件を適用する手法について検討した. 相変化をより正確に記述可能なSone-Onishiモデル(2002)の流体解析手法への適用方法(計算格子の物理量(流体解析)と界面の物理量(分子気体論)との関係)を示した. 本手法を, Stefan問題等に適用し, 解析解と比較することで, 気液界面境界条件が結果に及ぼす影響を調べた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請研究の中核をなすミクロ的観点に基づく解析手法(反応性流体を扱う)ならびにメゾ的観点に基づく解析手法(Diffuse-interface modelを扱う)を構築する際に重要になると考えられる質量分率まで含めた圧縮性流体の解析手法およびその気液界面での取り扱い手法を構築することができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度構築した手法を, 申請研究におけるミクロ的観点ならびにメゾ的観点に基づくそれぞれの解析手法に拡張する. また, 分子気体論に基づく気液界面境界条件を流体解析に適切に取り入れる手法についてさらに検討する(非平衡度合いに対する適用限界等). また検証実験を行う.
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Research Products
(5 results)