2014 Fiscal Year Annual Research Report
ソノケミストリーにおける非球形気泡のマルチスケールフィジックスに関する研究
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13J02710
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
神保 佳典 北海道大学, 大学院工学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | キャビテーション / 気泡 / ソノケミストリー / 数値流体力学 / 中空液滴 / 液滴衝突 / 非平衡相変化 / 気体論境界条件 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.平成26年度までに構築した数値解析手法を,申請研究の対象であるキャビテーションを想定した条件の数値解析に適用した.体積振動している気泡に衝撃波が作用する状況を想定し,衝撃波が作用する際の気泡の振動位相の違いが,その後の気泡の非球形崩壊挙動に及ぼす影響について調べた.非球形崩壊に伴う液体ジェットや衝撃波(これらは機械的な作用による物質分解に重要と考えられる)を強める気泡の振動位相が存在することが示された.また,Sankinら(2005)の実験結果と比較し数値解析の妥当性を示した.これらの内容は国際誌にて発表された.また,熱的な物質分解機構の解明に重要となる気泡崩壊に伴う高温とその周囲液体への拡散を論文にまとめた(査読過程). 2.申請研究におけるミクロ的な観点の数値解析手法を検証するための実験と数値解析を行った.実験対象は,低圧環境下での液滴の固体壁への高速衝突とその際に液滴内で生じる高圧(衝撃波)により引き起こされる気泡の非球形崩壊であり,実験は,受け入れ研究機関既設の実験装置(真空チャンバー,高速液滴衝突実験装置,高速度ビデオカメラ)により行われた.飽和蒸気圧程度の低圧下における気泡崩壊では,気液界面において生じる相変化の影響が重要になると考えられるため,検証実験に適すると考える.また,検証計算では,これまでに構築している圧縮性気液二相流の数値解析手法を改良し,液滴の高速衝突ならびに気泡崩壊を同時に解く数値解析手法を構築した.この結果は,国内学会にて報告された.また,平成27年度に,国際学会にて招待講演として発表する予定となっている.本数値計算では計算コストが課題となるため,計算機サーバを購入した. 3.手法検証の一環として,分子気体力学に基づく気液界面の境界条件を適用した気泡運動を表現する数理モデルを解く数値計算手法を構築した.それを国内学会にて報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に予定していた検証実験を,その一部を変更することで,受け入れ研究機関に既設の実験装置(高速度ビデオカメラ,真空チャンバー,液滴の高速衝突実験装置)ならびに受け入れ研究機関の有する実験技法により行うことができたため.この変更により,液滴の固体壁面への高速衝突現象(液膜の固体壁面に沿った進展や気液界面近傍に生じる液滴衝突に由来する撃力,液滴上方に発達する液膜・ジェット等)を,気泡崩壊と同時に直接数値計算する必要があり,検証数値計算のコストが課題となるが,計算機サーバの導入などにより対応が可能となった.
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Strategy for Future Research Activity |
申請研究におけるメゾ的な観点に基づく解析手法として,流体に加わる力学的作用などに起因して生成崩壊する気泡まで扱い得る数値解析手法を,これまでに構築した数値解析手法を改良することにより構築する.この数値解析では,力学的作用などに起因して生じる気液界面を,格子間隔以下のスケールの描像を導入することにより取り扱う必要があり,申請研究では,Diffuse-Interface modelを,これまでに構築している手法(申請研究におけるミクロ的な観点に基づく解析手法)に融合することにより達成する.この目的のために,相変化と圧縮性気液二相流の両方を扱い得る数値解析手法(Diffuse-Interface model)について研究している研究者との共同研究を進めている.
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Research Products
(5 results)