2013 Fiscal Year Annual Research Report
微小重力環境における液柱マランゴニ対流の不安定性に関する研究
Project/Area Number |
13J02728
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
矢野 大志 横浜国立大学, 工学府, 特別研究員(DC2)
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Keywords | マランゴニ対流 / 液柱 / 不安定性 / 宇宙実験 / 3-D PTV |
Research Abstract |
本研究は微小重力環境における温度差駆動液柱マランゴニ対流の不安定性と対流構造について明らかにすることを目的とするものであり、本年度は以下の成果が得られた。 (1) 2013年9月~2014年2月にかけて行われた宇宙実験(テーマ略称「Dynamic Surf 1」)に参加し、微小重力環境における実験データの取得を行った。本宇宙実験で得られた実験データは今後詳細に解析を行う予定である。 (2) 2008年~2013年にかけて行われた宇宙実験(テーマ略称「MEIS」)で得られた実験データについてデータ解析を行い、液柱形状がマランゴニ対流の不安定性に与える影響を明らかにしつつある。また、3-D PTV(三次元粒子追跡流速測定法)を用いた対流場の可視化計測も行い、液柱マランゴニ対流の不安定性が発現した際に生じる三次元的な対流構造の観察にも成功した。 (3)重力の有無の影響を考察するため、宇宙実験との対比地上実験を行なった。マランゴニ対流の不安定性発現条件を正確に計測するため自動温度制御装置を構築し、目標温度からのずれ±0.1度以内での温度制御が実現された。その結果、正確な実験データの取得に成功し液柱形状の影響と重力の影響に関する知見が得られた。 液柱マランゴニ対流に関する宇宙実験は国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」における初の科学実験として始まった大規模プロジェクトである。マランゴニ対流は特定の条件下で不安定性が発現し、複雑な対流場を形成するため、その三次元的な構造を把握することは非常に重要である。本研究は宇宙実験におけるマランゴニ対流の三次元計測の大部分を担っており、本研究で得られた成果は今後の液柱マランゴニ対流研究を進めるうえで非常に重要であるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地上実験装置が本年度の前半に構築され、必要な実験データの取得はほぼ完了している。また、宇宙実験についても大きな遅れもなく実験が行われ、データの取得も順調に進んでいる。主なデータ解析に必要なプログラムも完成間近であり、おおむね順調に研究が進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られたデータを詳細に解析していく予定である。宇宙実験については、解析に必要なデータの取得は既に完了しており、3-D PTV 等によるデータ解析もすでに始めている。地上実験については、必要なデータの取得はほぼ完了しているが、必要に応じて実験の追試を行う。得られた研究成果については、学術雑誌への論文投稿、学会での発表を中心に公表していく予定である。
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Research Products
(3 results)