2013 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナの維管束分化におけるサーモスペルミンの作用機構の解析
Project/Area Number |
13J02857
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉本 香織 岡山大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | サーモスペルミン / 木部分化 / オーキシン / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
維管束木部は陸上植物の成長および形態形成において大変重要な組織である。茎伸長の欠損を示すac15変異株と合成オーキシン2,4-Dの類縁体2,4-Dイソオクチルエステル(2,4-DIOE)を用いた以前の解析より、サーモスペルミンが合成されると、転写因子SAC51を介して、オーキシンによって誘導される木部分化を抑制すると考えられる。本年度はサーモスペルミンの転写因子SAC51を介した木部分化の詳細な制御機構を解明するため、以下の実験を行った。 1)SAC51の作用機構の解析 SAC51誘導系の植物として、35Sbro : SAC51-GR融合遺伝子を組み込んだシロイヌナズナの形質転換株を作成した。また、ac15変異株への導入も進めている。さらに、SAC51の標的遺伝子を同定するため、トランスクリプトーム解析を行う準備を進めている。 2)サーモスペルミン合成阻害剤(Xylemin)を用いた解析 2-1)Xyleminの効果について サーモスペルミンの詳細な作用機構を解明することを目的として、Xyleminの詳細な効果について解析した。Xyleminは、サーモスペルミンの合成を抑制することにより過剰な維管束形成と主根の伸長を促すとともに、維管束形成に重要な遺伝子の発現を増加させた。また、この実験の中で、外からサーモスペルミンを加えた植物では、維管束木部分化の抑制だけでなく、主根の長さと側根の形成が抑制されることを見つけた。 2-2)オーキシン/サーモスペルミン拮抗作用の解析 オーキシン応答性のATHB8pro : GUS融合遺伝子を組み込んだシロイヌナズナ野生型植物において、2,4-D IOEとXyleminを同時添加すると、サーモスペルミンの合成が阻害されることにより、維管束木部に対する2,4-D IOEの効果が促され、木部の異常な形成が確認出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
35Sプロモーター : SAC51-GR融合遺伝子の構築に関して手違いがあり作り直しをしたため、予定より遅れているが、サーモスペルミン合成阻害剤を用いた解析に関しては、予定していた以上に順調に進展し、現在論文にまとめる段階に至っている。また、この研究の中で新たな研究テーマに繋がる発見も得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
サーモスペルミン合成阻害剤を用いた解析の成果をまとめた論文を早急に投稿する。SAC51の作用機構の解析に関しては、35Spro : SAC51-GR融合遺伝子のacl5変異株への導入植物を確立し、木部分化やポリアミン生合成に関連する遺伝子の発現に対する影響などについて、詳しく調べる。さらに、デキサメタゾン処理と未処理の処理区に基づく高速シーケンサを用いたトランスクリプトーム解析を行う。
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Research Products
(4 results)