2014 Fiscal Year Annual Research Report
活性化リンパ球特異的細胞表面分子CD69による免疫制御機構の解明
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13J02883
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
林﨑 浩史 千葉大学, 医学研究院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | CD69L / 血管内皮細胞 / ヒトCD69 / 好酸球性慢性副鼻腔炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.細胞内タンパク質CD69Lの細胞外発現機構の解析:コンフォーカル顕微鏡の解析より、炎症時にCD69Lの発現が誘導されている細胞は、血管内皮細胞であることが示唆された。より詳細に発現細胞の性状を解析する目的で、炎症肺組織から血管内皮細胞を含む組織細胞を単離し、フローサイトメトリーによりCD69Lの細胞外発現を解析した。その結果、血管内皮細胞マーカーであるPECAM-1陽性細胞の約10%に細胞外での発現が観察された。また、CD69L発現細胞はICAM-1を高発現しており、ICAM-1の発現量は、CD69L細胞外発現量と正の相関を示した。このことから、CD69Lは活性化した血管内皮細胞上の細胞外にて発現が誘導されることが示唆された。 2.ヒトCD69とCD69Lを介したアレルギー性気道炎症の解析:ヒトCD69を遺伝子導入したCD69欠損マウス由来CD4 T細胞をホストマウスに移入することにより、ヒトCD69気道炎症モデルを樹立した。CD69Lはヒト-マウス間で99%のホモロジーを有しているので、このモデルにおいてもマウス同様にCD69L/CD69の会合を介した機構の存在が示唆される。このモデルを用いた気道炎症誘発実験において、抗CD69L抗体を投与した群では、顕著な炎症抑制が観察された。 3.好酸球性慢性副鼻腔炎組織におけるCD69Lの発現:好酸球性副鼻腔炎患者の粘膜組織を用いて、抗CD69L抗体を用いた組織染色を行った。正常粘膜組織と比べ、副鼻腔炎患者の粘膜組織ではCD69Lの発現が有為に亢進しており、CD69発現細胞との共局在も観察することができた。 当該研究により、CD69のリガンドであるCD69Lは、ヒトの炎症疾患においても機能していることが示唆され、上述した疾患において、新規治療ターゲットとして有用である可能性が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度までの研究結果は、提出した研究実施計画に沿って計画通り得られている。この度、ヒト組織の慢性炎症時においても、気道炎症同様にCD69Lの顕著な発現誘導が観察されており、また発現細胞がCD69発現細胞と共局在している様子も観察された。現在、CD69Lの発現機構の解析も着実に進められており、当初の計画以上に研究が進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、論文をまとめており、近日中に投稿予定である。現在、他のヒト慢性炎症組織においてもCD69Lの発現が認められるか、いくつかの臨床サンプルを用いて解析中である。今後はヒト検体を用いた治療法の可能性を探るとともに、アレルギー性気道炎症モデルを中心とした、CD69Lの細胞外発現の分子機構の解明を目指し、解析を進めていきたいと考えている。
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Research Products
(1 results)