2013 Fiscal Year Annual Research Report
多次元輻射輸送計算によるガンマ線バースト放射機構の解明
Project/Area Number |
13J02912
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
柴田 三四郎 甲南大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ガンマ線バースト / 輻射輸送 |
Research Abstract |
吸収過程よりも散乱過程の方が支配的であるような物質中では、光子の吸収に対する光学的深さは有効光学的深さというもので記述される。これまで一般的に用いられてきた有効光学的深さに対する式は静止した物質中での光子の散乱過程を考慮に入れ求められる。しかしガンマ線バーストの様な相対論的速度を持った流体において光子は相対論的効果により流体の速度方向へ集中して散乱されるため、ガンマ線バーストジェットにおける有効光学的深さを見積もるためには相対論的効果を考慮に入れる必要がある。その為、相対論的流体における有効光学的深さを求める表式を求め、The Astrophysical Journal Letters誌において掲載された。更にその表式を用いて実際にガンマ線バーストジェットから放射される光子の生成場所を求め輻射輸送計算を行うことにより、放射スペクトルを計算することが可能となった。その計算の結果、観測されるスペクトルは相対論的ジェットからの成分とその周りのコクーンからの成分との2つの成分の足し合わせになることが分かった。この様な結果はこれまでに非常に簡単化された系を仮定した計算により予言されていたが、本研究での詳細な輻射輸送計算によって、相対論的ジェットと親星との相互作用を考慮に入れたより現実的な系においても起こりうるということを確認することが出来た。この事は非常に重要であり、3度の国内学会と2度の国際学会において発表した。さらに論文としてまとめ学術誌へ投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度では研究を進めていく上で「相対論的流体中での有効光学的深さ」に対する表式を求める必要がある事が分かった為、それを解析的に導出した。この表式はこれまで誰にも知られておらず、またガンマ線バーストのみならず他の相対論的現象に対しても適用可能な非常に重要なものである。よって当初の計画以上に進展したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度においては、まず前年度に求めたスナップショットを背景流体として用いた場合のガンマ線バーストジェット中での輻射輸送計算についての結果を論文にまとめ、学術誌へ投稿する。また輻射輸送計算コードを拡張し、時間に依存した輻射輸送計算を行い、ガンマ線バーストジェットからの熱的放射の性質を解明する。そしてその結果をまとめ学術誌へ投稿する予定である。
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Research Products
(6 results)