2013 Fiscal Year Annual Research Report
中国貴州省におけるミャオ族女性の民族衣装と技術がつなぐ社会関係
Project/Area Number |
13J02973
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 若菜 京都大学, 東南アジア研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 国際研究者交流 / 中国 / 民族誌 / 地域研究 / 文化人類学 / 民族衣装 / ミャオ族 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中国西南部のミャオ族女性による民族衣装とその製作技術の共有や伝達が、いかにローカル社会の社会関係に組み込まれ、同時に、それらがグローバルな流通や観光化、出稼ぎ者の増加や義務教育の普及といった社会変容の影響をどのように受けているのかを明らかにすることである。本年度は、長期調査(2009年3月~2011年5月)で得られたデータをもとに、研究会等での発表と論文の執筆を積極的に行うとともに、博士論文を執筆することを目標として研究活動を遂行した。 5月には、父系親族組織を特徴とする中国貴州省のミャオ族において、母と娘の関係が、民族衣装を介してどのように形成されているのか、衣装の製作・所有・譲渡及びそれを取り巻く社会経済や婚姻習慣の変容過程にも注目しながら検討し、学術雑誌へ投稿した。 次に、観光化等を背景とした民族衣装の「商品化」、及び出稼ぎによる在村人口の大幅な減少からくる、90年代以降の衣装製作工程の変化について検討し、その変化が「愚きもの」をめぐる社会的な忌避関併や姻戚関係に裏打ちされた民族衣装のローカルな価値、そして現地の民族間関係に依拠している点をまとめ、10月に東北人類学研究会にて発表した。 また、調査地における「民族」(漢族、及びミャオ族の2つの下位集団)のあり方について、民族間結婚と民族衣装に着目しながら3万字程度にまとめ、11月に他大学の研究者を招いて開かれた論文作成のための講習会(学内)において発表した。 さらに、2014年2月には、JSPS Asian Core Program Final Workshop Asian Connections : Southeast Asian Model for Co-Existence in the 21st Centuryにて、英語の口頭発表を行い、プロシーディングを提出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
掲載に至った論文等は当初予定していたよりも少ないが、査読中・推敲中の論文は日本語・英語ともにあり、研究期間満了時には十分に達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度も引き続き論文執筆を中心に研究活動を遂行し、随時、短期調査も行う。具体的には、以下4点に着眼する。 1、ミャオ族の民族衣装とその製作技術の「商品化」 2、婚姻における、衣装とその材料である布の交換 3、衣装製作と技術継承をめぐる社会関係 4、観光スポットとなった近隣村からの影響を受けて変化した、衣装の価値と衣装製作、及び技術習得の位置づけ
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Research Products
(5 results)