2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J03015
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
島袋 隼士 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 暗黒時代 / 再電離 / 21cm線 / 構造形成 |
Research Abstract |
今年度は、交付申請書に記した様に、ニュートリノ質量、スペクトラルランニングインデックス、ウォームダークマター質量など、宇宙の小スケールでの構造形成に影響を与える宇宙論的効果を、宇宙暗黒時代、再電離期における中性水素電波21c血線によって調べる方法についての研究を行った。具体的にはクェーサーやガンマ線バーストなどの電波源を背景光が中性水索によって吸収を受けた結果作られるスペクトルに現れる21cm吸収線と呼ばれる特徴に注目した。宇宙の小スケールでの構造形成は未だに観測されていないため、21cm吸収線を用いることによって、構造形成の物理を探ることのできる可能性を示した意義は大きい。 これまでの観測では、例えばウォームダークマターの質量の下限に対する制限は得られている一方で、上限に関する強い制限は得られていない。しかし本研究では、21cm線の吸収線に注目した方法を用いると、ウォームダークマターの質量の上限に対して、これまでの観測とは独立に強い制限が与えられる可能性を示唆した。 先行研究では、21cm線の輝線を用いて上記の宇宙論的効果を調べる内容については数多く見受けられるが、吸収線を用いて宇宙論的効果を調べたのは本研究が初めてである。 私達が提案したこの新しい方法は、2020年代に起動予定の大型電波干渉計SKAを用いた中性水素の観測で検証できる可能性がある。そのため、今後の将来観測で探ることができるかもしれない小スケールでの構造形成にっいての物理を探る新しい方法を提案できた意義は大きいと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年は上記「研究実績概要」に述べた研究内容について論文を執筆し、Physical Review Dに論文を投稿中であるため、概ね順調に研究は進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究をまとめた論文がPhysical Review Dに掲載された後は、21cm線シグナルを計算するパブリックコード21cmFASTを改良し、将来の電波観測により宇宙再電離期を特徴づけるパラメータに対してどれくらいの制限を得られるのかを見積もる予定である。 また、21cm線のシグナルを統計的に解析する方法は現在、パワースペクトルのみだが、新たな統計解析の方法についての議論も行う予定である。
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Research Products
(1 results)