2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J03039
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小寺 諒介 京都大学, 数理解析研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | カレントLie代数 / Wey加群 / 箙多様体 |
Research Abstract |
Chari-Ionは, カレントLie代数の射影加群がglobal Weyl加群によるフィルトレーションを持つこと(*-1)を示した. 彼らの証明では, local Weyl加群の次数付き指標がMacdonald多項式の特殊化と一致するという結果(*-2)を用いる。また系として, global Weyl加群とlocal Weyl加群との間の高次Ext群の消滅に関する結果が得られる. 本年度は, まずカレントLie代数の次数付き加群の圏のホモロジー代数的性質についてこれまでの研究状況を整理し, 上述したExt群の消滅から逆に(*-1>と(*L2)の性質が導かれることを観察した. これは専門家には知られていたことだと思われるが, 明示的にまとめてある文献が見あたらなかったため, 改めて確認を行ったものである. その後Khoroshkinがプレプリントで同様の観察を発表している. さらに, 次数付き指標に関する結果を用いずに直接Ext群の消滅を示すことでChari-Ionの結果の別証明へのアプローチを試みた. これについてはいくつかの研究集会・セミナーで結果をアナウンスしたが, 証明に不完全な部分が見つかったため, 現在は議論を見直し修正中である. 証明を完成させ, 論文として発表することが次年度の最初の目標である. ADE型の単純Lie代数に付随するカレントLie代数においては, global Weyl加群及びlocal Weyl加群は対応する簾多様体のホモロジー群として実現される. その次数付き指標とは簾多様体のPoincare多項式の母函数に他ならない. もともとの箙多様体の導入の動機は, ALE空間上のインスタントンのモジュライ空間の記述を与えることであったが, その場合に対応するのはアファイン型の箙である. この場合にはWeyl加群の構造など多くのことが未知であるため, 本年度の考察を踏まえて結果を拡張し, 簾多様体への理解を深めることが次年度以降の課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
カレントLie代数のホモロジー代数的性質の別証明に不完全な部分を残したため。 カレントLie代数は量子ループ代数のパラメータの特殊化で得られるため、両者のホモロジー代数的性質もある程度は類似性があると思われる。これらの関係の詳細な理解については研究を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
カレントLie代数のホモロジー代数的性質を手がかりに、より複雑な構造を持つ量子ループ代数についてその性質を理解していく。 また、有限型箙の場合のみならずアファイン型箙の場合も合わせて考察することが、表現論においても箙多様体の幾何学を扱う見地においても興味深く、重要であると考えている。
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Research Products
(3 results)