2013 Fiscal Year Annual Research Report
PPRタンパク質ネットワークを基盤とした植物オルガネラのRNA編集装置の解明
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13J03052
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
一瀬 瑞穂 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ヒメツリガネゴケ / ミトコンドリア / 葉緑体 / RNA編集 / PPRタンパク質 |
Research Abstract |
本研究は初期陸上植物であるヒメツリガネゴケを用いて、植物オルガネラの新規のRNA編集因子およびRNA編集酵素を同定することを目的に行った。これらの成果により、RNA編集の分子機構の解明につながることが期待される。 1. オルガネラ部位特異的RNA編集因子の同定 ヒメツリガネゴケのミトコンドリアに存在する11カ所のRNA編集部位のうち9カ所にそれぞれ作用する6種のRNA編集因子がこれまでに同定されていた。本年度は残り2カ所に作用するRNA編集因子を同定するために、候補RNA編集因子の発現を抑制した変異株を作製し解析した。その結果、新たに2種のミトコンドリアRNA編集因子を同定することに成功した。この成果を論文にまとめて報告した(Ichinsoe et al. Plant Cell Physiol. 2013)。また、葉緑体に1カ所ある編集部位のRNA編集因子も同定することに成功した(論文作成中)。 2. オルガネラRNA編集酵素の同定 RNA編集反応はシチジン(C)が脱アミノ化によりウリジン(U)に変換されることから、RNA編集酵素はシチジンデアミナーゼ活性を持つことが予想される。これまでにヒメツリガネゴケで同定されたRNA編集因子は全てPPR-DYWタンパク質であるが、そのC末端にあるDYWドメインにはシチジンデアミナーゼ活性部位のアミノ酸残基が非常によく保存されている。そこで、DYWドメインがシチジンデアミナーゼであるか調べるために、ミトコンドリアのRNA編集が欠損したPPR-DYN遺伝子破壊株にDYWドメインを欠損させた領域や、機能部位と予測されるアミノ酸残基に変異を入れたコンストラクトを導入した相補株を作製し、RNA編集が回復するか解析した。そして、DYWドメインがRNA編集酵素活性を有している可能性が高いことを示唆する結果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までに、研究目標の一つである「新規オルガネラRNA編集因子の同定」を達成することができた。2つ目の研究目標である「オルガネラRNA編集酵素の同定」も当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
相補実験によりRNA編集因子であるPPR-DYWタンパク質のDYWドメインがRNA編集酵素活性を有していることが強く示唆される結果を得ることができた。今後はDYWドメインが実際にシチジンデアミナーゼ活性を持つのか調べるために、組換えPPR-DYWタンパク質を用いてin vitroでシチジンデアミナーゼ活性の検出を試みる予定である。
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Research Products
(9 results)