2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J03088
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
間瀬 崇史 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 可積分系 / 離散双線形方糧式 / 特異点閉じ込め / Laurent現象 |
Research Abstract |
離散可積分系について、双線形化とLaurent現象という観点から研究を行った。 まず、多次元格子上で定義された離散双線形方程式について、Laurent現象が成立するための領域の条件について調べた。その結果、特定の条件を満たす領域のうちひとつでLaurent現象が成立すれば、他の同様の領域上でもLaurent現象が成立するということがわかった。この条件は双線形方程式の形に依存したものなので、そのままでは双線形以外の方程式に適用することはできない。この条件に対応する非線形方程式の領域に関する条件を、双線形化と関連付けて考えることが次の課題である。 離散KdV方程式の非線形形式の初期値問題について考察した。非線形形式の初期値問題と双線形形式の初期値問題を対応させ、双線形形式のLaurent性と既約性、および互いに素という性質を用いて、非線形形式の初期値問題の解の分子と分母の構造を調べた。これにより、離散KdV方樫式が特異点閉じ込めテストを通過することを、項の打消しという観点から説明することに成功した。また、QRT写像のひとつについても同様の結果を得たほか、非可積分系の方程式で項が打ち消さず無限に出現する例を確認した。 Laurent現象の成立する離散双線形方程式がどの程度あるのかを調べた。方程式のパラメータが特別な場合に、コンピュータによる数値計算で厳密にLaurent性を否定する方法を発見した。この方法で実際に計算を行った結果、Laurent現象が成立する方程式の分類について予想を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
来年度以降に計画していた、Laurent現象の成立する双線形方程式の分類、双線形形式と非線形形式の初期値問題の対応、項の打消しを用いた特異点閉じ込めの言い換えなどで多くの進展があった一方、非線形形式の領域の条件の定式化など、本年度の計画が完全に達成されたわけではないため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、まずLaurent現象の成立する離散双線形方程式の分類に関する予想の証明を試みる。この予想を証明できれば、分類にしたがって個々の方程式の代数的エントロピーを求めることができる。 また、双線形形式と非線形形式の初期値問題の対応は、現在のところ離散KdV方程式やQRT写像の一部について構成できたが、これをより一般の方程式で考える。その際、非線形方程式の領域が解にどのような影響を与えるかについても調べる。
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Research Products
(2 results)