2014 Fiscal Year Annual Research Report
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13J03088
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
間瀬 崇史 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 可積分系 / 特異点閉じ込め / 代数的エントロピー / Laurent現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
離散可積分系について、特異点閉じ込めと代数的エントロピーを中心に研究を行った。 まず、特異点閉じ込めの定式化である「互いに素」という条件を用いてさまざまな差分方程式を調べた。これまで一部の可積分方程式については、分子・分母の打ち消しパターンに関連した変換を用いると、方程式がLaurent性を持つ双線形方程式に変換されることが知られていた。今回、特異点閉じ込めの意味では可積分だが代数的エントロピーの意味では非可積分である一般化Hietarinta-Viallet方程式の分子・分母について調べたところ、双線形化の一般化のような性質を持った方程式への変換が得られ、これを用いることで方程式の代数的エントロピーが計算できた。なお、変換後の方程式はLaurent性を持つが、これまで知られていたタイプの方程式と大きく形が異なっており、今後詳しい性質を調べる必要がある。 また、2階の差分方程式を初期値空間という観点から調べた。2階の差分方程式については、方程式が特異点閉じ込めを通過することと初期値空間が構成可能なことが同じであり、初期値空間が作れれば、代数幾何学的手法を用いて方程式の性質を調べることができる。今回数多くの方程式を具体的に調べた結果、初期値空間を持つ2階の非自励方程式では、非自励項の発展が初期値空間におけるPicard群への作用と同じになるという予想を得た。この予想を用いれば、特異点閉じ込めを通過する2階の方程式については、特異点閉じ込めのみから代数的エントロピーが計算できるようになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在1次元格子上の方程式については当初の計画を超えて研究が進展している一方、多次元格子上の方程式については研究が計画よりも少し遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度も引き続き特異点閉じ込めと代数的エントロピーに関する研究を進める。 方程式の従属変数を変換してLaurent性を持つ方程式を得る際、双線形方程式だけ考えるのでは足りないことがわかってきたため、双線形とは限らない方程式についても性質を調べる。また、初期値空間を用いた代数幾何学的議論が、特異点閉じ込めと代数的エントロピーの関係を明らかにするうえで有効だとわかったため、この手法を積極的に用いることにする。
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Research Products
(3 results)