2013 Fiscal Year Annual Research Report
スピン構造に由来するベリー位相と光による新奇な磁気光学効果の理論研究
Project/Area Number |
13J03141
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田口 勝久 名古屋大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | トポロジカル絶縁体 / 磁気抵抗効果 / スピン偏極電流 / トポロジカル絶縁体/磁性体接合系 / スピン拡散 / 磁気抵抗 |
Research Abstract |
今年度は、トポロジカル絶縁体/磁性体接合系でのスピントロニクスの研究をする予定だった。そこで今回、トポロジカル絶縁体表面上でのスピン拡散を考慮した、強磁性体(F1)/トポロジカル絶縁体(TI)/強磁性体(F2)接合系での磁気抵抗効果を中心に研究し、その成果を論文として発表した。 これまでのF1/TI/F2接合系での磁気抵抗効果の研究は、TI表面の電子伝導が弾道的に運動する領域のもとで解析が進められていた。しかし、実際のTI表面には不純物が存在し、それにより電子は拡散的に運動する。そこで本研究では、TI表面の拡散運動、特にTI表面のスピン拡散、を考慮した磁気抵抗効果について研究した。今回考察した配置は、3次元TIの片面にF1とF2を接合し、F1とF2の磁化の向きは±y方向の2方向、印加電流はx方向となっている。この配置のもとで、Burkov-Hawthornのスピン拡散方程式を使ってTI表面の電気抵抗を計算した。スピン拡散方程式の解を得るにあたって、スピン偏極電流に関する境界条件をつかった。計算の結果、磁化が平行のときは抵抗が磁化に依存せず、オームの法則に従う電気抵抗Rとなることが分かった。一方、磁化が反平行のときは抵抗が磁化に依存する。特にF1、F2の磁化が-y(+y), +y(-y)方向のとき、抵抗はRより減少(増加)するといった、印加電流方向への異方性が存在する。この異方性はTI表面のDiracコーンのカイラリティ(時計回り/反時計まわり)の自由度を反映している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた1年目の計画より先に、2年目に計画していた研究(トポロジカル絶縁体に磁性体を接合させた系でのスピン依存現象)の1つを終えることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
一年目の研究計画を終了させる。近年、バルクにDiracコーンが存在する物質―ワイル半金属―における奇妙な電気磁気効果について研究が盛んに行われているが、その最新の情報を国際会議に参加して手に入れる予定。
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