2013 Fiscal Year Annual Research Report
消滅の危機に瀕する琉球語(沖永良部方言)の記述研究
Project/Area Number |
13J03186
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
徳永 晶子 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 危機言語 / 琉球諸語 / 沖永良部島方言 / 記述文法書 / 言話ドキュメンテーション / 言語継承 |
Research Abstract |
本研究は、消滅の危機に瀕する奄美諸島沖永良部島方言の総合的な文法記述と記録を目的としている。平成25年度は、文法記述に向けて2度の現地調査を行い、主に名詞、動詞、形容詞の形態論に関する調査と、分析の基礎となる自然談話資料の収集、アノテーションの付与作業に取り組んだ。 調査で得られた知見のうち、動詞・形容詞の活用変化の概要は、科学研究費基盤研究A「消滅危機言語としての琉球諸語・八丈語の文法記述に関する基礎的研究」の研究会で報告を行った。文法の概要については同研究会で配布した「沖永良部島国頭方言(中間報告)としてまとめたほか、Gi js van der Lubbe氏と共著した"Okinoerabu"にまとめた(Handbook of the Ryukyuan languagesに掲載予定)。名詞形態論のうち、人称代名詞の体系については「沖永良部国頭方言の人称代名詞」として『琉球の方言』に論文投稿し、複数接尾辞の選択条件については「奄美沖永良部島方言の複数接尾辞」としてJLVC2014にて発表を行った。 自然談話資料は独話、歌、昔話、会話など計6時間ほどを収集し、書き起こし、及びアノテーション付与の作業を進めた。この他アウトリーチ活動として、平成26年1月に沖永良部島知名町公民館において沖永良部方言と言語継承を話題とした講演を行った。文法記述に向けての調査は大きく前進したが、同時に目指している記録資料の公開については限定的なものにとどまった。今後は引き続き研究を前進させると共に、資料のデータベース化と一般公開への準備を進めたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
音韻論、形態論について調査と分析の進展が見られ、今後の文法分析の基礎となる自然談話資料の収集も進んだ。研究結果は論文や研究会の発表を通して報告したものの、記録資料の公開は限定的なものにとどまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)自然談話資料へのアノテーション付与作業を進め、文法分析の為の基礎資料を整える。 (2)個別の文法事象に関する分析を進める。 (3)ホームページを整備し、記録資料を公開する。
|
Research Products
(6 results)