2013 Fiscal Year Annual Research Report
近世の地方における歌舞伎文化の展開と地芝居への影響
Project/Area Number |
13J03259
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
神谷 朋衣 早稲田大学, 文学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 地芝居 / 歌舞伎台本 / 近世史 / 芸能 / 文化 |
Research Abstract |
本研究は、近世期の歌舞伎・浄瑠璃等の文化の受容状況を明らかにし、地芝居との関係について分析することによって、地域社会における文化の形成と展開について考察することを目的としている。そのため、足助村(現愛知県豊田市)、金指村(現静岡県浜松市)、伊勢(現三重県伊勢市)の三つの地域を取り上げ、町・村・都市といった、性格の異なる地域を比較史、文化の受容と地域文化の形成について考えるものである。本年度は、各地域について以下のような進展があった。 足助村については、論文「近世の東海地方における地域文化の形成-歌舞伎・浄瑠璃の受容と地芝居の上演を通じて-」(『早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌』1、早稲田大学総合人文科学研究センター、2013年)、論文「地域社会における歌舞伎文化の受容―三河国加茂郡足助村を中心に―」(『史観』170、早稲田大学史学会、2014年3月)を執筆した。これらの論文で、足助村の商家を中心に、日常の生活における交流と書物出版文化・芸能文化受容の実態を明らかにし、地芝居の上演との関係について考察した。金指村については、浜松市立中央図書館を中心に、資料調査を行い、浄瑠璃本や写本等の史料を閲覧・撮影した。伊勢については、史料の調査(西尾市岩瀬文庫・皇學館大学佐川記念神道博物館)と分析、研究会の口頭報告を行った。まず、伊勢神宮外宮の禰宜、檜垣常善の日記『常善雑事記』を取り上げ、文化受容の実態を明らかにした。檜垣常善は、茶の湯・香道・浄瑠璃・芝居など、様々な文化に親しんでおり、文化交流のネットワークを形成していた。内容の一部は、名古屋大学近世史研究会において、「伊勢神職の文化受容」として口頭報告を行った(2013年12月14日、於名古屋大学東山キャンパス)。また、皇學館大学佐川記念神道博物館所蔵の千束屋資料の内、歌舞伎台本の一部(「伽羅先代萩」など)を閲覧・撮影した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究成果の一部を2本の論文として刊行することができた。また、資料調査についても、伊勢地域を中心に様々な資料を閲覧することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、資料を調査し、成果をまとめて発表していく予定である。具体的には、静岡県立中央図書館歴史文化情報センターを訪問し、金指村近辺の歌舞伎・浄瑠璃を中心とした文化の受容状況が分かる資料を収集する予定である。2013年度に調査した、千束屋資料(皇學館大学佐川記念神道博物館所蔵)についても引き続き調査し、伊勢歌舞伎の台本について詳しく分析する。また、調査の結果明らかになったことを研究会報告や論文として発表することを目標とする。
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Research Products
(2 results)