2013 Fiscal Year Annual Research Report
熱的生成シナリオにおける暗黒物質の有限温度効果を含めた残存量計算
Project/Area Number |
13J03345
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山中 真人 名古屋大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 暗黒物質 / 暗黒物質間接検出実験 / 高エネルギーガンマ線 / アクシオン |
Research Abstract |
本研究課題では、暗黒物質を未知の素粒子と仮定し、その正体の解明を目標とする。暗黒物質の性質を探る手段の1つとして間接検出実験が挙げられる。これは、銀河中心や銀河天体内で暗黒物質が対消滅・崩壊した際に放出するシグナルを探索・解析し、暗黒物質が持つ相互作用や暗黒物質の質量を検証していくものである。昨年度、銀河中心方向から放出される高エネルギーガンマ線のフラックスに、理論予測に対して、未知の超過が報告された。この超過を暗黒物質の崩壊や対消滅のシグナルとして説明しようという試みが数多くなされた。しかし、提唱された多くの模型では、暗黒物質がガンマ線以上に荷電粒子を生成してしまい、荷電粒子観測の制限に反するという問題を抱える。つまり、荷電粒子の生成を抑えつつ、高エネルギーガンマ線をもたらす暗黒物質が必要とされていた。 こうした背景に基づき、我々は、アクシオン(ここで言うアクシオンはaxion-like particleと呼ばれる類似粒子を含む)と強く相互作用する暗黒物質が、荷電粒子観測と無矛盾に、報告されたガンマ線の超過を説明できることを示した[1]。我々の提示したシナリオでは、暗黒物質がまず高エネルギーのアクシオンへ対消滅(または崩壊)し、そのアクシオンがアクシオン-フォトン転換(プリマコフ効果)を通じて高エネルギーガンマ線を生成する。このシナリオでは、暗黒物質とフォトンの相互作用を直接持たせないことで、問題の原因となる荷電粒子の生成を自動的に抑えることができる。研究[1]では、ガンマ線の超過の再現を要求することで、アクシオンと電磁場の相互作用の強さだけでなく、暗黒物質の質量、アクシオンへの対消滅率(または、アクシオンへの崩壊率)へ予言を与えることができた。ガンマ線超過がより強く追認された際には、研究[2]による暗黒物質の性質予言は大きな意義を持つものとなる。 [1] M. Yamanaka, K. Kohri, K. Ioka and M. M. Nojiri, ''130GeV ga㎜a-ray line through axion conversion, '' arXiv : 1310.3474 [astro-ph. CO].
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、上述の研究に加え、宇宙の物質・反物質非対称を算出する際に用いられるKadanoff-Baym方程式を、宇宙膨張の影響を取り入れ、解析的に書き下すという研究を行なった。この研究で得られた方程式は、暗黒物質の残存量計算高精度化という本研究課題を進めるうえで有効に働くものである。それゆえ、研究はおおむね順調と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、暗黒物質の解明を目標とし、研究を進めていく。特に、暗黒物質の残存量計算を有限温度補正を含めて行う予定である。また、それを補完する形で、標準模型を超える模型の検証に関わる研究を同時に進めていく。
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Research Products
(6 results)