2014 Fiscal Year Annual Research Report
熱的生成シナリオにおける暗黒物質の有限温度効果を含めた残存量計算
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13J03345
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山中 真人 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 素粒子標準模型を超える物理 / フレーバー非保存過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的は暗黒物質の正体解明である。未知の素粒子模型を探り出すことで、間接的に、その模型がもたらす暗黒物質の性質を明らかにできる。本年度は、未知の模型における暗黒物質以外の粒子、及び、その相互作用に注目し模型の構造を洗い出すというアプローチで、暗黒物質の間接的検証に力を注いだ。
多くの模型は、mu-e転換反応が発見されたならば、mu->e gammaやmu->3eも発見されると予言する。相互検証を基に、mu-e転換反応の確立や未知模型の解明がなされる。しかし、もし、mu-e転換反応のみが発見され、他の反応が見つからない場合、mu-e転換反応の確立等を如何にして行うか。研究[PRD 91,055018]では、mu->e gammaなどの観測無しでフレーバーの破れの確立や、その背後の模型を検証する術を検討した。プローブとして、LHC実験におけるフレーバーの破れを伴う反応、ニュートリノ非標準相互作用などに注目した。これらの反応の測定や、mu-e転換の反応率決定から、フレーバーの破れを伴う相互作用の強さ、及び、媒介粒子の質量を精度良く決められることを示した。
次に、研究[arXiv:1503.06156]について記す。未知の模型の候補に大統一模型が挙げられる。この模型の魅力は、種々の既知粒子を1つの起源で記述できることにある。しかし、種々の粒子の質量の違いを説明できないという問題も存在する。我々は、質量の違いを生み出すために、大統一模型の拡張を検討した。この拡張により、およそ100TeVの質量を持つ中性ベクトル粒子が現れる。この粒子はフレーバー非保存な相互作用をもたらす。本研究では、3種類のフレーバー非保存過程から、この粒子の性質をどこまで探り出せるか検証した。近い将来の実験で、この粒子のパラメーターを広い領域に渡り調べ出すことができ、大統一模型を間接的に検証し得ることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、暗黒物質の間接検出に関わる研究や、初期宇宙の背景場の影響を取り入れた粒子数密度計算に関する研究を投稿した、本年度、査読のコメントに基づき、それらの研究をより洗練し、国際誌掲載までこぎつけた。着実に研究成果を見える形で残している。
そして、【研究実績の概要】に記したように、暗黒物質の確立に必要となる背後の物理の検証に関する研究も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、特に、暗黒物質の残存量計算に力を入れたい。その際に、初年度に投稿し、今年度に国際誌掲載にまで運んだ、初期宇宙の背景場の影響を取り込みながら粒子数密度を計算するという研究を活かしていくことになると予想される。また、プランク衛星やAMS衛星から新たな結果がもたらされた際には、それを取り入れた暗黒物質像を積極的に考えていく。
さらに、今年度の研究に引き続き、暗黒物質をもたらす物理の検証に関する研究も同時に進めていく予定である。特に、mu-e転換反応を探索するCOMET実験、DeeMe実験がいよいよ始動するので、mu-e転換反応の有無・強度が暗黒物質の背後の物理にどれだけ情報をもたらすか明らかにしていきたい。
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Research Products
(15 results)
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[Presentation] 長寿命スタウ2014
Author(s)
Masato Yamanaka
Organizer
新学術領域研究会・テラスケール2014
Place of Presentation
大阪大学
Year and Date
2014-11-29 – 2014-11-29
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