2013 Fiscal Year Annual Research Report
演奏のコミュニケーションを支える文化・行動基盤:音響情報と視覚情報の相互作用
Project/Area Number |
13J03351
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
正田 悠 同志社大学, 文化情報学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 音楽演奏 / コミュニケーション / 身体動作 / 音響情報 / 異文化比較 / 心拍変動 / 時系列分析 / 演奏不安 |
Research Abstract |
「作曲者」-「演奏者」-「聴衆」と辿る音楽のコミュニケーションにおいて、演奏者は、作曲家が楽譜に記した楽曲のニュアンスを自分なりに解釈し、自身の身体を巧みに動かすことで聴衆に演奏を伝達している。本研究課題では、演奏者と聴衆が共に会するコンサート場面において(1)演奏者は、いかなる心理的・生理的過程を経て音響・身体情報として演奏を構築しているのか、(2)演奏を享受した聴衆はいかなる心理的・生理的反応を喚起し、その結果としていかなる行動を示すのか、また聴衆の反応は演奏者ならびに演奏表現にいかなる影響を及ぼすのか、(3)演奏者、聴衆の反応を支える文化的基盤とはいかなるものかを明らかにする。これらの探究により、音楽演奏のコミュニケーションにおける文化的基盤ならびに複数の時系列指標(「心理」、「生理」、「行動」)の複雑かつ多面的な相互作用の諸相を明らかにすることができる。 本年度は、研究代表者がこれまでに得た実験データを報告するとともに、研究課題の核となる「異文化比較実験」ならびに「行動実験」の準備を進めた。主な成果は以下の通りである。(A)音楽演奏において時々刻々と変化する「音響情報(テンポ・強弱)」および「身体の動き(演奏者の姿勢)」に最新の時系列分析を適用し、演奏表現がいかなる構成要素によって成立しているのかを示した。(B)演奏科学の専門家から、コンサート場面において演奏者が抱える"あがり"(Performance Anxiety, Stage Fright)等、個々人の心理的・生理的状態/特性を考慮する必要を指摘された。(C)異文化比較研究のため、英国ロンドン王立音楽大学の演奏科学研究センターを訪問し、実験の準備を行った。(D)当該研究センターにおいて、本研究の応用研究課題として「演奏家のWellbeing」に関する情報を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)本研究の核である「演奏のコミュニケーションにおける文化比較」研究のため、英国王立音楽大学を訪問した。(2)国内で行う実験の準備を整え、次年度前期には終了する目処がついている。(3)本研究の基盤として行った研究を複数の学術誌に投稿中、あるいは投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度前期に、日本国内で行う実験をすべて終了させ、次年度後期はその分析ならびに研究成果の公表(論文投稿および学会発表)を行う。英国王立音楽大学にて引き続き行う予定であった文化比較研究が、訪問先大学の都合により次年度に行うことが難しくなったため、この研究を平成27年度に行うこととする。
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Research Products
(10 results)