2013 Fiscal Year Annual Research Report
有機強誘電体からの高効率テラヘルツ波発生による強誘電ドメインの可視化とその光制御
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13J03372
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
五月女 真人 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 非線形光学 / テラヘルツ波 / 強誘電体 / 分子性結晶 / 強誘電ドメイン / 非線形伝導 |
Research Abstract |
近年、強誘電性を有する有機分子性結晶の物質開発が大きく進展し、室温において無機強誘電体に匹敵する分極値を有する物質群が多数開発され、理論・実験両面から多くの研究が行われている。有機分子性結晶は、無機物に比べ軽量・フレキシブル・環境適合性の点で優れており、有機分子性結晶に特徴的な新しい物性や機能を開拓することは重要な研究テーマである。有機分子性結晶における強誘電特性や光学特性を理解し、特徴的な新機能を創成するためには、強誘電ドメインを実空間で観察し、そのドメイン構造が電場などの外場によって変化するダイナミクスを明らかにすることが必要不可欠である。しかしながら、有機分子性強誘電体の最も基礎的な強誘電ドメイン構造や電場下でのダイナミクスですら明らかになっていなかった。本研究は、フェムト秒レーザー照射によるテラヘルツ電磁波発生を応用した汎用性の高い新たな強誘電ドメイン可視化手法を開発し、有機分子性強誘電体の強誘電ドメイン構造や電場下や光照射下における強誘電ドメイン動力学を明らかにすることを目的としている。 25年度の研究では、低温下において本イメージング手法を適用できる実験系を構築し、有機分子性強誘電体α-(BEDT-TTF)_2I_3を対象に研究を行った。第一に、強誘電ドメイン構造を可視化することに成功した。さらに、本イメージング手法を用いることによって、135K以下の電荷秩序相で起こることが知られている非線形伝導現象のメカニズムについて調べた。メカニズムに関してはこれまで様々な議論があったが、非線形伝導下における強誘電ドメイン構造ダイナミクスの実空間観察という新たな視点から、電流注入などによる伝導ドメインの生成とその拡大というメカニズムを示す結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度では、低温環境におけるテラヘルツ放射イメージング手法の導入を目指していた。実際にはさらに進んで、非線形伝導下における強誘電ドメイン構造のダイナミクスの詳細な観測を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り、テラヘルツ電磁波発生を利用した強誘電ドメイン可視化手法にパルス光励起を加えることで、有機強誘電体における超高速の強誘電ドメイン動力学の解明を目指していく。
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Research Products
(4 results)