2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J03450
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
橋詰 史晶 早稲田大学, 文学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | エドムント・フッサール / 現象学 / ジャック・デリダ / カール・ヤスパース / 感覚 / 本質 / 時間 |
Research Abstract |
筆者は特別研究員の申請書において以下の個別課題を掲げた。1. フッサール全集第41巻の検討2. 後期時間論における重要概念「生き生きした現在」の解明3. 「類似性」と「感覚的統一」についての研究4. ジャック・デリダを中心とする差異の立場からのフッサール解釈への検討 1 : フッサール全集第 41 巻を未邦訳かつ先行研究も皆無の状況のなか原文のドイツ語で精読を進めた。その成果に基づき現在論文を執筆中であり日本現象学会に投稿する予定である。 2 : 比較的多くの資料と豊富な先行研究があるのでまずはこれらを検討した。たとえばフッサール資料集第8巻や論文集On time-new contributions to the husserlian phenomenology of time(字数制限のため著者名略)に収録されている諸論文などである。この結果として生き生きした現在についてのフッサールの考察は実存についてのカール・ヤスパースの考察と多くの点で軌を一にしていることが分かった。この研究成果は厳正な査読を通過したうえで、2013年8月4日から10日にかけてギリシャのアテネで開催された。第23回世界哲学会議(XXIII World Congress of Philosophy)ヤスパース部会にて英語で発表した。なおこの部会を主催した国際ヤスパース学会が刊行する雑誌に、この発表の原稿を元にした論文が掲載されることも決定している。 3 : 1と2の研究結果を踏まえて初めて着手されるべき課題であるので2013年度は取り組まなかった。 4 : Derrida and HusserlやDerrida and phenomenology、Derrida : Deconstruction from Phenomenology to Ethicsなどを精読しデリダのフッサール解釈への理解を一層深めた。この研究成果は現在論文として執筆中であり日仏哲学会に投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終目標であるフッサール現象学における類似性の解明のために中心となる諸文献を順調に読み進め、主張を裏付けつつある。当初予定していたいくつかの副次的課題の進展が遅れていることも事実であるものの、これは予定していなかった海外発表の準備に追われていたことが大きい。したがって研究業績という点ではむしろ海外発表という予定以上の成果を挙げることができた側面もあり、研究全体の達成度としては2とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度はおおむね順調に研究を進めることができたので、2014年度にはその成果を学会発表・論文投稿というかたちで具体的な業績に結実させていくことを目標とする。すでに日本現象学会、日仏哲学会のための発表・論文原稿を準備中であるが、2014年度中にさらに原稿を書き進め、2014年度ないし2015年度に発表・投稿する。これらの研究成果の蓄積を基にして博士論文の執筆にも取り組む。
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Research Products
(1 results)