2013 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウム依存性アダプター蛋白質ALG-2による選択的スプライシング制御
Project/Area Number |
13J03584
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐々木 桂奈江 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 特別研究員DC2
|
Keywords | カルシウム / ALG-2 / 選択的スプライシング / SR様蛋白質 / CHERP / 核スペックル |
Research Abstract |
ALG-2はアポトーシス関連遺伝子にコードされる約20kDaの蛋白質として同定され、分子内にCa^<2+>結合モチーフであるEF-handが5つ連続したpenta-EF-handドメインをもつ。Ca^<2+>が結合することによってALG-2の構造が変化し、様々な蛋白質と相互作用することが知られている。研究代表者のこれまでの研究から、ALG-2がCa^<2+>に応答して、相互作用因子CHERPと共に様々な核内現象に関与する可能性が考えられた。そこで、今年度はALG-2のCa^<2+>依存的な核スペックル(多くのスプライシング因子の貯蔵・修飾の場と考えられている核内の非膜構造体)への移行の詳細なメカニズムおよび生理的意義、Ca^<2+>依存的な選択的スブライシング制御におけるCHERP、ALG-2の関与を明らかにすることを目的とし、研究を行った。さらに、CHERPがRNA polymerase II (Pol IIと相互作用することを見出したため、CHERPにおけるPol II結合領域やその相互作用に対するALG-2やCa^<2+>の影響を調査した。 CHERP発現抑制HeLa細胞を用いて生細胞観察を行い、核内ALG-2の局在に対するCa^<2+>動員誘導剤thapsigargin添加の影響を調べた。その結果、ALG-2のCa^<2+>依存的な核スペックルへの移行にCHERP依存性はみられなかった。 Ca^<2+>依存的な選択的スプライシングが起こるcaspase-2やPMCA2遺伝子に対するCHERP、ALG-2発現抑制の影響を調べたところ、コントロールと比較して顕著な変化は観察されなかった。 共免疫沈降法によりCHERPとPolIIの相互作用解析を行ったところ、CHERPがCIDではなくProに富む別の領域を介して、リン酸化状態のPol IIと相互作用することが明らかとなった。さらに、Ca^<2+>存在下では抗Pol II抗体の免疫沈降産物中にALG-2が検出された。この研究結果より、CHERPおよびALG-2が選択的スプライシング制御に関与する可能性が強く示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の目的である、ALG-2のCa^<2+>依存的な核スペックルへの移行の詳細なメカニズムおよび生理的意義、Ca^<2+>依存的な選択的スプライシング制御におけるCHERP、ALG-2の関与を明らかにするための手がかりを得ることができなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
Ca^<2+>依存的な選択的スプライシング制御におけるCHERP、ALG-2の関与を明らかにするため、報告されている標的についてCHERP、ALG-2発現抑制や過剰発現の影響を調べる。SH-SY5Y細胞の発現抑制効率が低いため、発現効率を高める条件も検討する。 研究代表者は小胞体ストレスによるXBP1のスプライシングに対するALG-2の関与を見出したため、小胞体ストレス応答でのALG-2の役割についても解析を進める。
|