2014 Fiscal Year Annual Research Report
ピラードレイヤー型多孔性配位高分子を鋳型とした高度周期性単層二次元ポリマーの創製
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13J03594
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石渡 拓己 北海道大学, 総合化学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多孔性配位高分子 / 高分子ゲル / 架橋 / 膨潤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではジカルボン酸型有機配位子、ビピリジル型のピラー配位子、及び銅イオンにより構築される、異方的な結晶構造を有するピラードレイヤー型MOFを鋳型として用い、この有機配位子に固定化した架橋点を内部架橋することで単層の二次元ポリマーを作製することを目的としている。
昨年の研究では本研究に関する基本的な知見を得るため、あえてアジド基の存在する平面間でも架橋が起こる条件のもとで架橋反応を行い、異方的な膨潤挙動を示す高分子ゲルの作製を行った。具体的には、二点アジド基を有するターフェニルジカルボン酸有機配位子(AzTPDC)、4,4’-ビピリジル(bpy)、及び硝酸銅三水和物を用いてアジド基を異方的に有するピラードレイヤー型MOF (PLMOF)を作製した。さらにPLMOFの有機配位子間を、四点プロパルギル基を有する架橋剤(CL4)を用いて架橋することで架橋されたPLMOF (架橋PLMOF)を作製し、配位結合を分解することで高分子ゲルに変換した。このようにbpyをピラー配位子として用いた場合、アジド基の存在する平面同士の距離は十分に隔離されておらず、平面間においても架橋が生じることが予想される。実際、このようにして高分子の作製を行ったところ、PLMOFは高分子ゲルに変換され、得られた高分子ゲルは異方的な膨潤挙動を示した。これは、得られた高分子ゲルがMOFの異方構造を反映した構造を有しており、その異方性に起因した異方膨潤を示したと考えられる。 本年度はこの異方膨潤について詳細に知見を得ることを目的に実験を行った。具体的には、架橋構造のモデリング、及びフローリー・レナーの式を用いた架橋密度の算出を行った。結果、モデリングから得られた架橋密度とフローリー・レナーの式から導かれた架橋密度は良い一致を示した。この一致は本研究で作製された高分子ゲル異方的な膨潤挙動がMOFの結晶構造に起因した異方的な網目構造に起因することを強く示唆する結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究では昨年の研究で得られた高分子ゲルの異方的な膨潤挙動について詳細に評価を行い、高分子ゲルの異方的な膨潤挙動がMOFの異方構造に起因することが強く示唆された。本結果はMOFの構造と得られる高分子ゲルの構造の関連性を立体的に考えた点で、目的の二次元ポリマーの合成においても非常に有用な結果である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた知見をもとに配位子、架橋剤、およびピラー配位子の分子設計を行い、目的の二次元ポリマーの作製を行う予定である。
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Research Products
(9 results)