2013 Fiscal Year Annual Research Report
リボソームのリン酸化を介する新規翻訳制御機構とその意義
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13J03621
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
富岡 真 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シグナル伝達 / タンパク質翻訳 / リボソーム / RNA |
Research Abstract |
1. 多様な条件下における出芽酵母Rps5リン酸化状態の解明 これまでは間接的な手法によってのみ検出が可能であったRps5のリン酸化を直接検出するための手法の開発を試みた。具体的には抗リン酸化Rps5抗体を作製することでRps5のリン酸化状態を検出し、どのような条件下においてRps5のリン酸化が変化しているのかを明らかにしようとした。新しい手法によってリン酸化Rps5を部分的に検出することを可能にした。この成功により、今後様々な培養条件下、特定のシグナル伝達経路不活性化条件下におけるRps5のリン酸化状態の簡便な検出が可能になる。 2. Rps5リン酸化に応じたリボソーム制御機構の解明 Rps5のリン酸化の有無によってリボソームに起こっている変化を明らかにし、シグナル伝達によるRps5のリン酸化を介したタンパク質翻訳の調節機構の解明を試みた。ノーザンプロッティング及びリアルタイムPCR法を導入することにより、Rps5リン酸化不全により惹起される40Sリボソーム減少の原因が40Sリボソームを構成する18SリボソームRNAの減少に起因すること、そしてその減少の原因がリボソームRNAの成熟異常にあることを明らかにした。この現象は、本来常に正に制御され続けられるべきリボソームRNAの成熟課程が、細胞外栄養源によって制御される可能性を示唆するものである。この仮説はこれまでは不完全なリボソームとされてきた未成熟型18SリボソームRNAを含むリボソームが有する未知の機能を予感させるものであり、リボソーム研究の発展に大きく寄与する事が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
作製した抗リン酸化抗体の抗原特異性が非常に低く、使用条件の検討に多くの時間を要した為。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究成果を元に、リボソームの機能調節機構の詳細を解明する。具体的には、Rps5が関与するリボソームRNAの成熟に必要な因子の同定により、調節機構の全体像を明らかにする。
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