2013 Fiscal Year Annual Research Report
バキュロウイルス由来新奇コンドロイチンリアーゼの立体構造解明と機能改変
Project/Area Number |
13J03678
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川口 喜郎 九州大学, 農学研究院, 特別研究員(DC)
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Keywords | バキュロウイルス / コンドロイチンリアーゼ |
Research Abstract |
2013年度は、バキュロウイルス由来コンドロイチンリアーセの触媒残基と反応機構の解明を行った。これにより酵素の立体構造と性質の相関関係を明らかにすることが叶い、本知見をFebs Letters誌に報告した。科学研究費は、上記の研究を遂行するための試薬等の購入に当てられた。 申請者はバキュロウイルス由来コンドロイチンリアーゼ、ODV-E66を研究の対象としている。ODV-E66はウイルスで初めて同定されたコンドロイチンリアーゼであるだけでなく、既存のコンドロイチンリアーゼと異なる狭い基質特異性、および高い安定性を示す点で極めて新奇性が高い。このODV-E66の特徴的な性質について、その原因を明らかにするために、申請者はX線結晶構造解析によるODV-E66の立体構造解明を行った。結晶構造から、ODV-E66はN末端側にα/dtroid topologyをドメインC末端側にanti-pararel β-sandwichドメインを、それぞれ持つことが明らかになっていた。コンドロイチンの分解する際には、これらのドメイン間で咬合するように動き、活性に必須なアミノ酸残基が集合することを想定していた。特別研究員の申請時には、このドメイン間での動きを支持する結果が不足しており、活性残基の決定、基質認識機構の解明、および最終目標である本酵素の機能改変を行うことが叶わなかった。 採用後、ODV-E66に対して変異実験を行うことで、5つのアミノ酸残基を触媒残基として同定し、ODV-E66がコンドロイチンを分解する際の反応メカニズムを明らかにした。本結果により、ODVL-E66がドメイン間で動くことが支持され、ODV-E66の特徴的な特徴である狭い基質特異性と、高い安定性に対する考察を行うことができた。本結果を、結晶構造から抽出されたバキュロウイルスの宿主特異性に関する知見とともに、FEBSLetters誌において報告することができた。本知見は、最終的な目標として掲げた「安定性を維持したまま、より厳密な基質特異性を持つ変異型ODV-E66を作製」し、「医療・研究分野おいて利用可能な変異型ODV-E66を作製する」ことに対し貢献し得ると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(1 results)