2014 Fiscal Year Annual Research Report
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13J03694
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
加藤 隼人 一橋大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 新経済地理学 / 空間経済学 / 租税競争 / ロビー活動 / 先見的行動 / コミットメント / 自国市場効果 / 集積と分散 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、(1)平成25年度に取り組んだ動学的分析を国際学術誌に公刊するとともに、(2)政治経済学的な観点に注目した分析を完成させ、(3)動学的分析に関する新しい課題を開始した。 (1).集積経済下の動学的租税競争分析: 平成25年度から取り組んでいた本研究は、1度の改訂を経て、European Economic Review誌に公刊された。当該雑誌には、過去に申請課題に関連の深い研究が複数掲載されており、本研究を当該課題に関心をもつ研究者に知ってもらうには、最適の雑誌である。 (2).政治経済学的側面に注目した集積経済下の租税競争分析: 平成25年度から取り組んでいる本研究は、資本家(企業の所有者)の献金を通じたロビー活動によって影響を受ける政府によって展開される、2国間の静学的租税競争を分析している。小国が大国よりも低い税率、大国ではより高い税率が設定されることで、小国が大国よりも多くの企業を獲得することになる。この結果は、先行研究で知られている「市場規模の大きな国がより多くの企業を獲得する」という自国市場効果と正反対であるという点で興味深い。複数の学会で研究成果の報告を行い、国際学術誌への投稿が可能な水準にまで論文を仕上げることができた。 (3).(1)の発展的分析: 平成26年度より取り組み始めた本研究は(1)の分析を拡張したものである。具体的には、(1)では政府のみが動学的に意思決定をする主体であったのだが、本研究は政府に加えて企業も将来を見据えた先見的行動をとるように拡張している。分析は未完成であるものの、学会報告や当該分野の専門家との個人的な面談を通じて、分析の改善に繋がる多くのコメントを得た。平成27年度中に分析を完成させ、国際学術誌に投稿できるように努める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度から国際学術誌に投稿中であった集積経済下の動学的租税競争の論文は、1度の改訂を経て掲載採択された。政治経済学的租税競争の論文についても、学術誌への投稿が可能な水準にまで仕上げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
政治経済学的租税競争分析の論文を国際学術誌へ投稿し、平成27年度中に掲載採択・公刊させることを目指す。今年度から取り組んでいる、政府と企業ともに先見的行動をとるような動学的租税競争分析をより洗練させ、平成27年度中の分析の完成及び学術誌への投稿を目指す。
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Research Products
(8 results)