2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヘッジホッグ受容体のプロセシングと不安定化を介した新奇発癌抑制機構の解明
Project/Area Number |
13J03763
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
八巻 優佳 首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | へッジホッグ / Sonic hedehog / Patched1 / プロセシング / 核移行 / 骨分化 / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
Patched1は様々な細胞応答を誘起するモルフォゲン受容体であり、その過剰なシグナルは細胞の増殖分化異常を引き起こす。それ故、Patched1の動態は、細胞の状況に応じて適切に調節される必要があり、その破綻はガンなどの様々な病態につながる。申請者らはこれまで哺乳類培養細胞において内在性Patched1第7細胞質ドメイン(ICD7)が断片化し、核へ移行することを新奇に解明した。またPatched1 ICD7領域に報告されたヒト発癌変異がPatched1 ICD7断片の不安定化を引き起こすことを見出した。これらの結果は、Patched1 ICD7領域のユビキチン化修飾が、Patched1の選択的分解を始動するシグナルであることを示唆している。しかしながら、現在までにPatchedlICD7の切断や核移行、代謝メカニズムは明らかにされていない。 本申請研究では、Patched1 ICD7断片の核移行メカニズムとその意義解明という目標を達成するために、ICD7が受けるプロセシングと核移行メカニズム、核内での新奇ターゲット因子を明らかにすることを課題とした。これらの課題を解決するために、まず質量分析法を用いてこの領域に結合するタンパク質を解析した。その結果、一群のE3ユビキチンリガーゼ複合体の構成因子を同定した。続いてPatched1 ICD7をベイトとした免疫沈降実験により、培養細胞内において実際にPatched1 ICD7とE3タンパク質が共沈降することを明らかにした。さらに、プロテアソームを阻害した条件において、ポリユビキチン化タンパク質とPatched1 ICD7が共沈降することを明らかにした。また、Shh応答性幹細胞においてE3タンパク質をノックダウンした結果、骨分化マーカーであるアルカリフォスファターゼ活性が上昇したことから、ICD7と結合するE3タンパク質によるユビキチン化が、骨芽細胞への分化抑制に寄与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請者はモルフォゲン分子Patched1の細胞質ドメインに着目し、質量分析により多くの結合タンパク質候補を同定した。それらの中からタンパク質ポリユビキチン化に関わる複合体を見出し、その機能解析を進めている。これまでPatched1を介する情報伝達経路のユビキチン化はほとんど未知であったが、本研究によりモルフォゲンを介した細胞分化と増殖のコントロールに新しい知見を見出している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Patched1 ICD7と相互作用が認められたE3タンパク質の標的となる基質タンパク質を同定することが重要な課題として挙げられる。その線題を解決するために、質量分析法を用いて解析を進める。また、Patched1 ICD7とE3タンパク質との相互作用が、間葉系幹細胞の骨分化誘導に影響し得るのかを検討することにより、Patched1 ICD7の新たな役割が明らかになると考える。Patched1を含むE3複合体によるユビキチン化が、骨芽細胞への分化誘導に寄与する可能性について詳細に検討する。
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Research Products
(1 results)