2013 Fiscal Year Annual Research Report
過飽和の視点から見たアミロイド線維分子機構とそれに関わる脂質膜の役割の解明
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13J03790
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺川 まゆ (鈴木 まゆ) 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アミロイド / 脂質膜 |
Research Abstract |
本研究は、脂質膜が与えるアミロイドβの線維形成への効果を調べることを目的に研究を行った。研究を進めていくなかで、生体膜の必須脂質であるフォスファチジルコリンで作製したリポソームがリポソームのサイズ依存的に線維形成の核形成段階を促進することが明らかとなった。そこで、脂質ベシクルの曲率に着目し、30・50・100・200nmのベシクルが線維形成機構に与える影響について調べることにした。すると、30・50nmのリポソームを添加することによって核形成に要する時間(ラグタイム)が短くなることが分かった。一方、100・200nmのリポソームを添加した際にはその効果があまり見られなくなった。濃度依存性を調べたところ、ペプチド濃度と1:1のモル比で添加した際にも十分にラグタイムを短縮する効果を30nmのリポソームは持ち合わせていることが明らかとなった。またこの実験により、曲率の効果とリポソームの占有体積の効果の寄与についても調べることを試みた。低濃度(脂質濃度とペプチド濃度が同じ)の脂質濃度において、30nmと100nmのリポソームサイズでリポソームが与える線維形成への影響を調べた。すると、100nmのリポソームの方の占有体積が30nmのものの約3倍と大きいのにも関わらず、30nmのリポソームでのみラグタイムの促進効果が確認された。また、脂質濃度が高濃度(脂質濃度がペプチド濃度の100倍)になるにつれて、脂質の体積効果が除々に見られるようになった。ベシクルを形成している脂質分子間の隙間にできる疎水的環境にも着目し、なぜ小さいベシクルによってアミロイドβの核形成が促進されるのかについて現在研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りではないが、これまで関係性がないと考えられていた脂質種においても線維形成に影響を与えるということを明らかにできたという点において、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、・脂質膜とアミロイドβとの相互作用がどのようなものであるのかを明らかにする・脂質膜を添加することによって線維の形態がどのように変化するのかを調べることを目的に研究を進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)