2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J03830
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
永田 俊次郎 北海道大学, 大学院総合化学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 多孔性配位高分子 / ゲスト放出制御 / アントラセン / 光二量化 / Metal-Organic Framework / Porous Coordination Polymer |
Research Abstract |
Metar Organic Fraamework (MOF)は有機配位子と金属イオンにより形成されるジャングルジム型の多孔性配位高分子である。MOFは有機配位子と金属イオンの組み合わせをゲストの分子サイズに合わせて最適化することで、従来の多孔性材料の数倍もの吸着量を示すことが報告されている。 本研究では、MOFに外部刺激に応答したゲートを修飾することで、高機能なガス貯蔵材料、薬剤輸送材料、ゲストの貯蔵・放出制御を利用した触媒反応場としての応用を着想した。ゲートとして可逆的な光二量化反応を有するアントラセンに着目し、アントラセンをMOFの表面に修飾することで光によりMOFに包接したゲストの放出が制御可能になると考えられる。 当該年度においては、反応性部位として骨格にアジド基を有するMOFを調製し、クリック反応によりアセチレンを有するアントラセンの修飾反応を試みた。その結果、MOFの表面選択的にアントラセンの修飾反応が進行していることが蛍光顕微鏡および共焦点レーザー顕微鏡などにより明らかとなった。また得られたアントラセン修飾MOFにおいて、光照射によりアントラセンの二量化反応および加熱により開裂反応の進行が、固体吸収スペクトルおよび^1H NMR測定により確認された。 さらにゲストとして薬物分子であるイブプロフェンを包摂させ、ゲストの放出挙動を1H NMR測定により追跡した結果、アントラセンの光二量化によりゲストの放出が大幅に抑制されることが示唆された。また、二量化したアントラセンを有するMOFの加熱による開裂反応により、ゲストの放出が回復することが明らかとなった。 上記の結果により、光および熱によりMOFに内包したゲストの放出を制御可能であることが示され、多様なゲストを用いることでドラッグデリバリーシステムなどを始め、様々な分野での応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究計画は反応部位を有するMOFを構築するアジド基を有する有機配位子の合成とMOFの調製である。現在、有機配位子の合成を達成しMOFを構築した後に、, ゲートとなるアントラセンの修飾反応まで試み、その可逆的な光二量化によるゲストの放出制御まで検討している。このため、当該年度の計画の目的を達成していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに薬剤分子(イブプロフェン)をゲストとして用いた系において、その放出制御に成功した。今後は薬剤分子のみならず、種々のゲストを用いてゲストの放出制御を検討する。そのために、ゲストの分子サイズに適した細孔を有するMOFの設計・構築を試み、より緻密にゲストの放出制御を試みる予定である。 また、現在は光により開閉が可能なゲートの系を構築しているが、熱やpHなどの刺激に応じた系の構築を予定している。種々の外部刺激に対応してゲストの放出が可能となれば、様々な場面でオンデマンド型にゲストの放出の制御が可能な優れた輸送材料の開発に繋がることが期待される。
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Research Products
(9 results)