2015 Fiscal Year Annual Research Report
生体系における自己組織化・秩序化過程の統一的解明-水を主役として-
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13J03866
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾嶋 拓 京都大学, エネルギー理工学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 溶媒の並進配置エントロピー / 自己組織化・秩序化過程 / 排除体積効果 / 溶質ー溶媒多体相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
蛋白質の熱安定性には周辺の水が重要な役割を果たしていることがわかっており、蛋白質の安定性を評価するために水和熱力学量を求める方法が求められている。しかし、蛋白質の水和をよく再現することができる従来の手法は計算コストが高く、実用的ではない。Generalized Born (GB) 法とMorphometric Approach (MA)を組み合わせた計算法を開発し、水和熱力学量の計算によく用いられる液体論や分子動力学(MD)シミュレーションの計算コストの削減を行った。我々の手法では、任意の水和熱力学量を溶質の4つの幾何学的指標(排除体積V、露出表面積A、平均曲率の積分値X、ガウス曲率の積分値Y)とGBエネルギーの線形結合で表現する。一度係数が求まると、任意の形状の溶質の水和自由エネルギーを幾何学的指標とGBエネルギーの計算だけで求めることができる。この方法によって従来の方法で得られた水和自由エネルギーを再現でき、かつ劇的に計算時間を短縮することができた。 p53蛋白質のC末端(p53CTD)は水溶液中では特定の構造を取らないが、複数のターゲット蛋白質と結合することができ、ターゲットごとに異なる構造へと折り畳むことによって結合することが知られていた。p53CTDの結合と構造変化のメカニズムを明らかにするため、p53CTDと4種類のターゲット蛋白質との結合における水和熱力学量変化を積分方程式理論を用いて計算し、水の影響を調べた。すべての結合において、水のエントロピー効果が支配的であることがわかった。結合における静電およびvan del Waals的なエネルギー利得は、結合時の水との水素結合の切断によるエネルギー損失によってほぼキャンセルされてしまうことがわかった。また、同じ解析方法により、アクチンとミオシンの結合も水のエントロピー利得に駆動されていることを明らかにした。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(7 results)