2013 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症患者における睡眠呼吸障害の実態調査と有効な看護介入の確立
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13J03957
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
澤渡 浩之 九州大学, 医学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ダウン症 / 睡眠時無呼吸症候群 / 睡眠体位 / 先天性心疾患 / 鼻炎・花粉症 / 療育者の観察 / 早期発見 |
Research Abstract |
本年度は、ダウン症者の睡眠時無呼吸症候群に関する基礎情報の確立として1,222人のアンケートデータを詳細に且つ多岐にわたり検討した。 その結果、①先天性心疾患を合併しているダウン症者の睡眠時無呼吸の症状と先天性心疾患の重症度による影響については、先天性心疾患を持つものは睡眠中の呼吸停止(この場合は、心機能低下によって引き起こされる中枢性睡眠時無呼吸の可能性)が多くなることが示された。そのなかでも特に先天性心疾患の重症度が高いファロー四徴症を持つダウン症者が睡眠中の呼吸停止の合併率が高かった。このことから、ダウン症者において先天性心疾患を合併している者、特に重症度が高い者については、睡眠時無呼吸の症状を注意深く観察し早期発見・早期介入する必要があることが示された。 ②ダウン症者で特異的に観察される睡眠時無呼吸症候群の防御姿勢と考えられる睡眠体位と睡眠時無呼吸の症状との関連については、ダウン症者に特異的に観察される睡眠体位または座位で寝ているダウン症者は、いびきと睡眠中の呼吸停止の頻度が高かった。このことから、療育者や看護職者はこのような睡眠体位を発見した場合はダウン症者に対し精密検査を行い、早期介入をする必要が明らかとなった。 ③鼻炎・花粉症が及ぼす睡眠時無呼吸の症状への影響については、鼻炎や花粉症をもつダウン症者は、有意に睡眠時無呼吸の症状の発生率が高くなることが明らかになった。この研究により、従来の睡眠時無呼吸に対する介入に加えて、耳鼻科的な方面からの介入も必要な事が示唆された。また、看護職者は、睡眠時無吸症候群の早期発見のために鼻炎や花粉症をもつダウン症者の療育者に対して睡眠時無呼吸症候群を合併する確率が高くなるといった情報提供を行うことが大切なことが示された。上記したものに加えて、他にも多くのダウン症者の睡眠時無呼吸症候群に関するリスク因子を見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ダウン症者における睡眠時無呼吸症候群のリスク因子に関する基礎情報の確立としてアンケートベースで詳細に検討を行った。その結果、数多くの今まで報告されていないリスク因子が明らかとなり、リスク因子に基づいてダウン症者の睡眠時無呼吸症候群の有無の可能性を評価することで早期発見の可能性が見いだせたことは評価できる。以上のことから当初の進展目標を達成出来たのではないかと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査は、主観的なデータのアンケートを基として研究を進めていったが、さらに確立したものにするために客観的なデータを使ってこれまで明らかにしてきたことを調査する必要がある。今後は、パルスオキシメーターなど簡易装置を使って調査をしていく予定である。また、国際的なダウン症者の睡眠時無呼吸症候群の基礎情報の確立のために同じ研究を行っているスコットランド(英国)のチームと情報の共有をするために調整をしている。上記に加えて、これまでの知見を論文にまとめ国際学術誌に投稿するために、論文の執筆を行う。
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Research Products
(5 results)