2015 Fiscal Year Annual Research Report
量子マクスウェルの悪魔とその光格子上の冷却原子気体への応用
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13J04105
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
布能 謙 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-26 – 2016-03-31
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Keywords | 非平衡統計力学 / ゆらぎの熱力学 / 情報理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
系の状態が非平衡の場合でも情報論的な量を取り入れることで、非平衡な状態に対する熱力学が進展してきた。特に、一般に非平衡な場合に対して散逸を小さくする方法が熱力学第二法則やゆらぎの定理、Jarzynski等式を用いて研究されてきたり、系から取り出せる仕事のゆらぎをできるだけ抑える方法が量子情報のテクニックを熱力学へと応用して議論されてきた。熱機関や熱力学的タスクといった非平衡なダイナミクスを制御し、効率的に操作したい場合、系から取り出せる仕事と熱浴へと散逸してしまう散逸仕事(散逸)の二つの熱力学的な物理量が重要な鍵を握る。仕事は系から“自由に取り出せるエネルギー”といった操作論的な意味を持ち、散逸はプロセスの不可逆性を表す。熱ゆらぎが無視できない微小系では熱力学的な量はゆらいでいて、系のトラジェクトリーに依存して仕事と散逸はそれぞれが異なった関数形をとる。 本研究では、この仕事と散逸といった二つの重要な物理量が系の初期状態・終状態の非平衡の度合いによってどのような制約を受けるかについて研究を行った。そして、仕事と散逸それぞれの標準偏差の和は非平衡自由エネルギーの標準偏差によって下から抑えられるという仕事ゆらぎ-散逸ゆらぎの間のトレードオフ関係を導出した。また、仕事ゆらぎと散逸を同時に最小化することはできず、それらの間にトレードオフ関係があることも見出した。さらに、詳細ゆらぎの定理を使うことによって、トレードオフの下限を達成する具体的なプロトコルの導出を行い、そのプロトコルがハミルトニアンのクエンチ、熱平衡化、準静的過程の組み合わせで構成されることを明らかにした。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)