2013 Fiscal Year Annual Research Report
水溶液中で8-ニトログアノシンを認識し共有結合的に捕捉する分子プローブの開発
Project/Area Number |
13J04273
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渕 靖史 九州大学, 薬学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 8-ニトログアノシン / 8-ニトロ-cGMP / 8-oxo-dGTP |
Research Abstract |
私は以前、本研究課題の基盤となる研究で8-nitroG (8-ニトログアノシン)捕捉分子としてnitroG-Graspと名付けた分子を開発しており、有機溶媒中ではあるが効率的な8-nitroG捕捉反応の開発に成功した。しかしながら、最も効率的反応を示したC3-nitroG-Graspの高い反応性についての化学的な根拠が未解明であった。そこでこの捕捉反応を速度論的に詳細に解析していった結果、反応性はチオールのpKa及びエンタルピー、エントロピーに依存していることが示された。この成果は今年学術誌への掲載が決定した。この結果をもとに、チオフェノールを導入した誘導体を設計した。実際に8-nitroGに対する反応を評価したところ、反応性が向上する結果は得られなかった。上記と同様に反応を解析した結果、反応の遷移状態の安定性が低いことが律速となっている可能性が示された有機溶媒中においてnitroG-Graspは8-nitroGに対する高い捕捉反応性を示した。この分子を水溶液中での反応に応用するために、nitroG-Graspにリン酸アニオン認識部位を付与した分子を設計し、8-ニトロ-cGMPのリン酸部位を認識し捕捉することを期待した。実際に合成し反応性を評価したところ、水中で8-ニトロ-cGMPを捕捉することに成功したが、リン酸アニオン認識部位による期待した効果は得られなかった。そこでリン酸認識部位の効果を検証するために、当研究室で開発した8-oxoG-clampと呼ばれる誘導体にコンジュゲートした誘導体(8-oxoG-clamp-cyclen)について合成し評価することとした。その結果、8-oxoG-clamp-cyclenは水中において8-oxo-dGTP (8-オキソグアノシントリリン酸)に対して特異的に蛍光消光することが観測され、特異的認識に成功した。この成果は現在論文を作成中である。またリン酸認識部位の効果を調べたところ、この構造はトリリン酸体に特異的に結合しており、サイクリックモノリン酸には適切な結合を形成できないことが分かった。現在、サイクリックモノリン酸に対して水中で結合可能なユニットを探索・合成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は水中で8-ニトロ-cGMPを捕捉する分子の開発を計画しており、実質的には開発することに成功している。この方針を基に、研究過程で私は8-oxo-dGTP認識分子の開発にも成功しているため、計画以上の成果が得られていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず初めに最適な8-ニトロ-cGMP捕捉分子を探索・開発していく。この分子設計を基に、8-チオ-cGMP捕捉分子の開発を進めていく。これらの分子を開発できた後に、生化学的なツールとしての評価を行っていく。
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