2014 Fiscal Year Annual Research Report
土地利用変化に伴う生物分布の将来予測:人為活動の退行がもたらす影響の把握
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13J04354
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山中 聡 北海道大学, 農学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 耕作放棄 / 地表性甲虫 / 湿原再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は耕作放棄地の増加が地表性甲虫の分布にどのような影響をもたらすのか、減少が危惧される生物種にとって、耕作放棄地が代替生息地として機能するかを検証した。さらに、耕作放棄地を既存植生へと復元する際の効率的な手法を検討するため湿地復元サイトにて地表性甲虫の調査を行った。 地表性甲虫と環境要因(放棄地の植生および土壌水分)の調査は平成26年度6月から10月に北海道釧路地方にて行った。各放棄地でみられた地表性甲虫群集と湿性草地の群集の非類似度を算出し、非類似度に局所環境(植生の草丈と土壌水分率)と周辺環境(周囲500mの湿地面積)が与える影響を把握した。解析の結果、土壌水分率と草丈が高い放棄地ほど湿性種の出現が増加し、甲虫群集が湿性草地の甲虫群集に近づくことが明らかとなった。また、この群集構造の変化には周辺環境よりも局所環境が大きく影響していた。これは、放棄地を地表性甲虫の生息地として機能させるためには、耕作放棄地の周囲の環境を考慮するよりも放棄地内の環境をどのように管理し、質を向上させるか考えることが重要であることを示唆している。 また、釧路地方の湿原再生区を対象とし湿原復元手法の違い(放棄地周囲の明渠の埋め立ておよび放棄地の掘削)が地表性甲虫群集に与える影響を検証した。結果、埋め立て区では草丈は放棄地と変わらないものの、土壌水分率は放棄地と比べ増加しており、甲虫群集は湿性草地の甲虫群集と類似する方向に変化していた。一方掘削区では、土壌水分率が増加するものの掘削の影響で植生がまばらであり、甲虫群集は対照区とも湿性草地とも異なっていた。以上より、湿性草地の地表性甲虫を対象として耕作放棄地の湿地復元を行う際には、耕作放棄地の植生を残したまま土壌水分を増加させる明渠の埋戻し作業が即効性のある手法であると考えられた。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)