2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J04377
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
清水 悠平 九州大学, 薬学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アミド結合 / 加水分解 / 官能基共存性 |
Research Abstract |
近年、アミド化合物に対してC-H結合の活性化や速度論的光学分割など様々な有用な反応が開発されている。しかし、そのアミド結合は非常に強固な結合として知られ、これを化学的に切断するには一般に強酸や強塩基を用いた激しい反応条件が必要であり、基質一般性に問題を残していた。そこで私はアミド結合を温和な条件下で切断可能な反応の開発を目的に研究を行っている。本年度において私は安価で取り扱い容易なヨウ化アンモニウム塩とヒドラジン―水和物の組み合わせにより50-700℃という温和な条件下でこのアミド結合切断反応が進行するということを見出した。本反応では従来の強酸や強塩基を用いる条件では利用困難なOTBS基、アセタール基、OTHP基、MHBoc基やNHCbz基など様々な官能基が共存可能であった。また、アミノ酸や糖誘導体にも適用可能であり、極めて広い基質一般性を示すこと確認している。さらに、アシル基側をエステルやカルボン酸など様々な有用な化合物に変換可能であるため、アミン側だけでなく、アシル基側の有効利用も可能である。近年、アミン側を配向基として用いたC-H結合活性化によりアシル基側を修飾する反応が数多く報告されているが、この配向基を温和に外す方法が確立されていないというのが現状である。本反応はこういったC-H結合活性化反応によって得られる基質に対しても有用であり(既に本反応を利用した報告もされているOrg. Lett. 2014, 16, 1968)、アシル基を用いる様々な反応にとって有意義なものとなり得る。本反応のフロー系への展開も現在検討中であり、既に有意義な結果を得ている。これによって大量スケールでの合成も可能になるため、より有用な反応となり得る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終目的としている加水分解ではないものの、ヒドラジンとヨウ化アンモニウム塩を用いた温和な条件下での反応開発に成功しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒドラジンを用いたアミド結合切断反応の開発には成功したため、今後は加水分解反応の開発に向け、様々な金属や配位子などを検討していく予定である。また、ヒドラジンの系に関しては反応機構の解析やフロー系への更なる展開を行っていく。
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Research Products
(9 results)