2013 Fiscal Year Annual Research Report
高劣化耐久性・高効率太陽電池の実現に向けたマルチフィジックス計算化学手法の開発
Project/Area Number |
13J04454
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
桑原 卓哉 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DCl)
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Keywords | SCC-DFTB / 分子動力学法 / 太陽電池 / PECVD / 量子化学 / アモルファスシリコン |
Research Abstract |
本研究は、コンピュータシミュレーション手法を用いることにより、高劣化耐久性・高効率太陽電池の実現に向けてその設計指針を得ることを目的としている。平成25年度は、新規計算プログラムの開発を軸として研究を行った。また開発したプログラムを用いた、薄膜シリコンのプラズマCVD成長シミュレーションを行った。 1. Self-consistent-charge density-functional tight-binding (SCC-DFTB)法に基づく計算プログラムの開発 プラズマCVDプロセス中の化学反応を高速かつ高精度に計算する必要があることから、電子状態計算にSCC-DFTB法を用いた分子動力学法(SCC-DFTB MD)プログラムの開発を行った。Self-consistent部分の高速化のために、DIIS法及びAnderson法を導入した。これにより、それらを導入する前に比べ収束に要する反復回数の削減に成功した。また、フェルミ準位近傍においてフェルミ関数を用いたブロードニングを行い非整数の電子の占有を許すことにより、縮退したd軌道、ダングリングボンドを持つ表面原子、ラジカルを含む系の計算が可能になった。 2. アモルファスシリコンのプラズマCVDプロセスにおけるラジカル種の影響の解明 アモルファスシリコンのプラズマCVDプロセスにおいては、プラズマ中で生成するSiH_3ラジカルが最も膜成長へ寄与することが知られているが、実験条件を変えることにより低次のラジカル種、特にSiH_2ラジカルの膜成長への寄与が大きくなることが知られている。そこで、ラジカル種がアモルファスシリコンのCVD成長へ与える影響に関してTight-Binding量子分子動力学法を用いて解析を行った。その結果、SiH_3ラジカルとSiH_2ラジカルでは、表面化学反応が異なることから成長機構に差異が生ずることを明らかにした。さらに、このラジカル種による成長機構の違いは膜質に大きく影響を与える。SiH_3ラジカルは、膜内に多くの環状構造を生成することから高品質な膜成長に有効であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、当初の予定通り新規量子化学計算プログラムの開発を軸に研究を行った。それにより、新規プログラムの開発に成功し、さらに、開発したプログラムを用いることにより新たな研究成果を上げた。その成果は論文として、近日中に投稿予定である。故に、計画に沿って順調に研究が進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したSelf-consistent-charge density-functional tight-binding (SCC-DFTB)法に基づく分子動力学プログラムを活用した、アモルファスシリコンカーバイドのプラズマCVDシミュレーションを行う。それにより、成長表面での化学反応及び成長機構を明らかにする。また、膜中でのSi-C結合及びC-C結合の形成機構の解明し、原子レベルの膜構造制御に必要なプロセス設計指針を得る。それに加え、SCC-DFTB法の高速化にも着手する。具体的には、エネルギーを最小化する密度行列の直接探索法を開発、導入することにより、対角化を回避し計算コストの大幅な削減を行う。
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Research Products
(8 results)