2013 Fiscal Year Annual Research Report
機械と量子化学の融合によるマルチフィジックス型MEMSプロセスシミュレータの開発
Project/Area Number |
13J04457
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 寿 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | エツチング / MEMS / 分子動力学法 / CVD / ALD / 半導体 / 量子化学 |
Research Abstract |
本研究は、高精度なMEMSプロセスの実現のため、マルチフィジックス型MEMSプロセスシミュレータの開発を行うことで、最適MEMSプロセスの理論設計を行うことを研究目的としている。今年度は、エッチングシミュレータの手法開発とともに、シリコン酸化膜のエッチングプロセスについて反応メカニズムの解析、評価を行った。 1. 量子化学に基づくエッチングシミュレータの開発とエッチングプロセスの解明 連続的なエッチャントの照射、生成分子の蒸発・除去機能等を実装したエッチングプロセスシミュレータを開発し、シリコン酸化膜のエッチングプロセスについて、照射エッチャント種(CF_2、CF_3ラジカル)、及び照射エネルギーによって異なる化学反応メカニズムを明らかにした。低照射エネルギーにおいては、ダングリングボンドが多いCF_2が表面反応を促進させる一方、高照射エネルギーの場合は、多数のF原子によってSi-F結合が多く生成するCF_3が高速なエッチングに有利であることを明らかにした。さらに、エッチャントの堆積現象に関して、SiO_2表面にCFポリマーが成長する過程の観察に成功した。Si-F結合が生成しやすいCF_3を用いた場合に、SiO_2中のSi原子を起点としたSi-c-c結合の生成が少なく、プロセスの効率低下を抑制できることを明らかにした。来年度は、DFT計算を用いたCFポリマー成長過程の解析、及び上記シミュレータを用いたSiC、SiN_x表面のエッチングプロセスについて、さらに研究を行う。 2. 量子化学に基づくCVD・ALDプロセスシミュレータの開発 エッチングプロセスシミュレータを改良し、CVDシミュレータの開発を行った。開発したシミュレータにより、シリコン薄膜のCVDプロセスの解明に成功した。また、複数のガス分子照射を可能にするALDプロセスシミュレータへの改良を行い、W_xSi_y薄膜の成膜プロセスシミュレーションに成功した。来年度は、手法開発の継続とともに、開発したシミュレータを用いて膜質の制御性向上に向けた研究を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エッチングシミュレータの開発に成功し、エッチャント種によって異なるエッチングメカニズムを明らかにした。それらの結果を、国内外計7件の学会で発表し、成果をまとめた論文は既に投稿済みである。また、CYD, ALDプロセスシミュレータの開発を行い、SiやWi_xSi_y薄膜の成膜プロセスシミュレーションに成功した。これらの成果、業績から、初年度の取り組みはおおむね順調であると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
高速化、大規模化を目標とした量子分子動力学法に基づくエッチング、CVD、ALDプロセスシミュレータの改良及び、それらのプロセスの反応メカニズムの解明を行う。特に、エッチングプロセスに関しては、昨年度に取り上げたSiO_2のみならず、SiC、Si_xN_yのエッチングを行う。また、SiO_2エッチングプロセスにおける照射エッチャント種の堆積機構を、第一原理計算を用いて解明する。CVDヽALDプロセスに関しては、W_xSi_y膜の成膜プロセスにおける反応ダイナミクスを膜質、副生成物とともに明らかにする。
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Research Products
(8 results)